東大に向いている人、京大に向いている人

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もし東京大学と京都大学の両方に合格できるだけの学力があったら、どちらを選択したほうがいいのでしょうか。
世間では「東大」「京大」の順番で呼ばれることが多く、あまり「京大」「東大」とは呼ばれません。すると日本1の大学は東大で、京大は2位に甘んじていると感じるかもしれませんが、この2つの大学に限っては、そのような評価はできないでしょう。

「東大は首都にあるから先に呼ばれることが多い」といった程度に理解するべきです。これら両方とも日本1の大学なのです。

しかし、2つの大学に通うわけにいかないので、どちらかを選ばなければなりません。結論を先に紹介すると、東大に向いている人は東大に行き、京大に向いている人は京大に行くことをおすすめします。もし、迷ったら、自分はどちらに向いているかを考えたほうがいいのです。今回は、自分の向き・不向きを判断する方法を紹介していきます。

あえて「どちらが得か」を考えてみる

東大と京大に甲乙つけることはできません。どちらも日本1の大学です。それでも、受験生は「2つの大学があれば必ず優劣がつくはずだ、それを知りたい」と思うでしょう。そこで、あえて「どちらが得か」を考えてみした。答えは、東大といえるでしょう。

この判断を下した根拠は、予算額です。予算がより大きいということは、大学の施設や研究内容やスタッフがより充実している、と推測できるからです。また、大学の研究には多額の費用がかかります。もし、予算を多く確保しているのであれば、研究費も充実していると考えられます。

また、大学が1年間に使ったお金を経常費用と言います。この経常費用ですが、2017年度の東大は232,089,000,000円(約2,321億円)でした。一方で、同年度の京大は157,550,750,000円(約1,576億円)でした。

これは実に約1.5倍もの差がありますが、教育機関かつ研究機関の規模としては東大が京大を圧倒しているということになります。ちなみに経常費用のうち、2017年度の人件費は東大が97,739,000,000円(約977億円)、京大が67,255,554,000円(約673億円)でした。

この人件費には教授や准教授、研究者、事務職員たちの給料が主なのですが、こちらもちょうど約1.5倍の差があります。この理由は東大のスタッフ数のほうが多いためですが、より多くの研究者たちから学ぶことができるのは、東大といえます。

しかし、この結果はあくまで「あえて比較すれば」ということで導き出したものです。これだけで大学の価値は決まりません。繰り返しになりますが、大学としての質も格も、東大と京大は同じく日本1と言えます。

東大が求める学生と京大が求める学生

自分が東大向きなのか京大向きなのかを判断するには、東大と京大がどのような学生を求めているのかを知っておく必要があるでしょう。

東大が求める学生像

東大の受験生向け公式キャッチフレーズは「志ある卓越」(※1)です。卓越とは、他者よりはるかに優れていることです。単に優れているだけでは足りません。そして、単にはるかに優れているだけでも足りません。志が必要なのです。これは「日本を背負う志」「日本を引っ張る志」と考えてよいでしょう。つまり「日本を背負いたい」「日本を牽引したい」と考える人は、東大に向いています。

この思想は、東大憲章にも表れています(※2)。そこには、「東大生はこのようにあれ」と次の内容が書かれてあります。

・世界の東京大学となることが日本国民から付託されている(世界の東大をつくりあげなければならない)
・国籍、民族、言語などのあらゆる境を超えた人類普遍の真理と真実を追求する
・世界の平和と人類の福祉、人類と自然の共存、安全な環境の創造、諸地域の均整のとれた持続的な発展、科学・技術の進歩、文化の批判的継承と創造を担う

京大が求める学生像

「小中高と学んできた学びの場所とはまったく違う世界が大学には拓けています」
これは2019年3月現在の京大総長(第26代)、山極壽一氏の言葉です。この山極氏はYouTubeで受験生に向けたメッセージを発していて、その冒頭でこのように述べているのです(※3、4)。
学長が「違う」ことを強調しているのは、いかにも京大らしいといえます。
京大は天才の育成に力を入れる大学といわれることがありますが、そのDNAは総長も持っているのです。山極氏はもちろん京大卒です。

それでは京大の基本理念をみてみましょう(※5)。ここに京大が求める学生像があります。
・世界的に卓越した知の創造を行う
・対話を根幹として自学自習を促し、卓越した知の継承と創造的精神の涵養につとめる
・地球社会の調和ある共存に寄与する

興味深いことに京大でも「卓越」という言葉を使っており、他者よりはるかに優れることは、京大生にも求められるわけです。そして他者のなかには、東大も含まれているのでしょう。
そして京大らしさが出ているのは、対話と自学自習です。京大では、教授ら大学スタッフと学生は対話をするのです。対話とは、対等な立場の2者による会話です。スタッフからの一方的な指導ではない、ということです。
そして京大生は自学自習をしなければなりません。京大生は自分で学ぶべき対象を探し、自分で掘り進めて行かなければなりません。
この考えはまさに「天才の育成に力を入れる京大」に通じます。天才は自ら道を切り拓く人だからです。

※1:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_02_01.html
※2:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/overview/b04_00.html
※3:http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/admissions/
※4:https://www.youtube.com/watch?v=eqaUECU-u4s
※5:http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/history/ideals/basic

入試はどちらのほうが「大変」か

日本1の2つの大学の入試をパスすることは、日本1大変な作業といえるでしょう。東大を狙う受験生も、京大を狙う受験生も、誰よりも勉強しなければなりません。
ただ勉強の大変さには2種類あります。つまり東大入試を克服することの大変さと、京大入試に勝つ大変さは、質的にかなり異なります。

秀才を求める東大は、秀才の力量を探る入試問題をつくっています。例えば、英語では高い処理能力が試されます。東大の英語には、長文読解、リスニング、要約、空所補充などが出題されます。これだけ聞くと、「普通の入試の英語の試験」と感じるかもしれませんが、その通りです。
東大の英語を克服するには、普通の受験生に求められることを極めなければなりません。したがって、東大英語の勉強法はあくまでオーソドックスに徹するべきでしょう。
東大を目指す受験生は、「平均的な受験生を極限まで高めた存在」になる必要があります。

一方、天才を迎え入れようとしている京大入試の英語の問題は、多くの受験生が異質に感じるかもしれません。しかし京大の英語の出題スタイルは帝国大学時代から変わっていません。つまり、オーソドックスすぎて、現代ではかえって新鮮になってしまったのです。

京大の英語は、ほぼ和訳と英訳しか出ません。現代は「使える英語」や「コミュニケーションツールとしての英語」を求める風潮にありますが、京大英語はその真逆をいっているといってもいいでしょう。

例えば2018年度入試の総合人間学部の英語の試験では、大量の英文を読ませた後に、「下線部aの『the savior complex』はどのようなものか。本文に則して日本語で説明しなさい」と問われます(※6)。
もちろん単語だけ訳すのであれば「救世主の複雑な感情」や「救世主のコンプレックス」となりますが、もちろんそれは誤りで、正しい解答例は次のようになります。

「自分が救世主であると一方的に思い込んでいること。ここでいう『救世主としての思い込み』とは『自分は他者を救うことができる』『自分は他者を救うために必要な答えをすべて持っている』『自分は何をすべきかわかっている』『困っている人は自分が来るのを待っている』などのことである」

日本語でも理解しづらい内容かもしれませんが、この問題を解くには、進化生物学や心理学、自己本位などについてある程度の知見を有していなければなりません。京大の英語長文は、英語を訳すことができても難解な日本語が現れるだけです。
京大は、日本人の研究者が外国の英語論文を読んで内容を精査するような作業を、受験生に求めているのです。

※6:https://www.web-moshi.jp/kakomon/channelPdfView.do?paperId=1805600101&type=a&year=null&examDate=null&nyushiName=null&displayPosition=0

生涯賃金はどちらのほうが高くなる?

東大卒者と京大卒者では、どちらの生涯賃金のほうが高くなるのでしょうか。東大生も京大生も、自ら望み努力をすれば高い給料がもらえる地位に簡単に就くことができます。
ここでは、大手出版社の扶桑社が運営しているサイト「日刊SPA!」の2017年7月の記事「東大卒VS京大卒 年収はどっちが上か?」からデータを拝借しました(※7)。

この記事によると、東大卒者の生涯賃金の平均は4億6,126万円、京大卒者は4億2,548万円でした。東大卒者のほうが京大卒者より3,578万円多く稼いでいます。

3,578万円は決して小さな額ではありませんが、京大卒者の4億2,548万円の8.4%でしかありません。
また、大学を卒業して22歳から働き始めて60歳まで勤務したとすると、38年間労働することになります。3,578万円を38年で割ると94万円/年になります。年収差が94万円なので、こちらもそれほど「大差」の印象はありません。

それよりも、大卒者の平均生涯賃金2億8,653万円より、両者とも約1.5億円多く稼いでいることのほうがインパクトは大きいでしょう。
38年間の労働で1.5億円の差が出るということは、年収差は395万円/年(≒1.5億円÷38年)にもなります。

もうひとつ興味深い統計があります。それは東大卒者と京大卒者の平均貯金額です。
・東大卒者の平均貯金額:692万円
・京大卒者の平均貯金額:1,055万円

生涯賃金が低い京大卒者のほうが、貯金額が多いのです。同記事ではこの理由について、東大卒者は対面を守るための出費が多いので、貯金がしにくいのではないか、としています。

※7:https://nikkan-spa.jp/1362886

官僚になるなら東大、研究者になるなら京大

世間ではよく、官僚(国家公務員のトップ)になるなら東大を、研究者になるなら京大を選んだほうがよい、といわれています。このイメージは正しいようです。

京都大学教授などを歴任した橘木俊詔氏が「東大vs京大 その実力を比較する」(祥伝社新書)という本を著しています。この本でも「研究で生きる京大と、官僚などのエリートを生む東大」と総括しています。
橘木氏は、東大の学習カリキュラムが官僚を育成するようにできている、とみています。それは東大の教え方が学説を重視するからです。学説とは、特定の研究分野における専門家の大半が「これが正しいこと」と認定した考え方のことです。
つまり「日本でいま最も正しいと考えられていること」を教えるのが東大スタイルです。

一方の京大は、講義よりゼミを重視するスタイルです。ゼミとは、教授や准教授などの教官1人と、10人程度の学生がグループをつくって学ぶ場です。教官たちは頻繁に学生の意見を聞くので、学生たちは自分の考えをしっかり持っていなければなりません。

もちろん東大もゼミを重視していますし、京大も学生を重視しています。ただ「どちらをより重視するか」となると、学説の東大、ゼミの京大となるわけです。

東大を狙う人も京大を狙う人も土台をしっかり築く必要がある

東大の特徴と京大の特徴をみてきました。そして東大は秀才を育成し、京大は天才を探していることがわかりました。
しかしこの両者の違いは「あえて東大と京大を比較すれば、このような違いがある」という説明であることに注意してください。

つまり、東大に合格するには秀才的な努力だけでは足りず、天才的なひらめきも必要です。東大生の秀才ぶりは、普通の人がみたら天才に映るでしょう。
そして京大に合格するには、天才的なひらめきだけでは足りず、秀才が日々行っている努力が必要になります。京大生の天才たちは、並みの秀才以上に勉強をしています。
東大生と京大生の違いを概念図で示すとこのようになります。

東大生

京大生

類まれな秀才

類まれな天才

普通の秀才の努力と

普通の天才のひらめき



つまり東大受験に挑む人も、京大受験に挑む人も、土台には普通の秀才の努力と普通の天才のひらめきを持っていなければなりません。
そのうえで、東大が求める秀才さと京大が求める天才さを磨き上げる必要があります。

まとめ

東大と京大の違いは、一般の人にはなかなかわからないものです。どちらの学生も秀才かつ天才だからです。そして一般の人にとっては、東大生も京大生も憧れの的です。
しかし東大と京大を狙える学力と偏差値を身につけた受験生は、両大学の違いをしっかり押さえておく必要があるでしょう。

自由な雰囲気を求める人が東大に入ると窮屈に感じるはずです。逆に、王道を突き進みたい人が京大に入ると、「もっとしっかり導いてほしい」といった物足りなさを感じるかもしれません。
本物の富士山は1つしかありませんが、受験界には、東大と京大という2つの富士山があります。いずれも独立峰ですので、どちらかに登るには、他方をあきらめなければなりません。「なぜ自分は東大に行きたいのか」「なぜ自分は京大に行きたいのか」をはっきりさせておいたほうがいいでしょう。

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