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早稲田大の政経学部はなぜ入試で数学を必須にするのか

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数学が苦手だから文系にした、という受験生もいるでしょう。そのような人にとって衝撃的なニュースが飛び込んできました。
文系私大のトップ大学学部である早稲田大政経学部が、2021年2月の一般入試から数学を必須にすると発表したのです。ワセダのセイケイの狙いを探りました。

現行の政経学部の入試科目

現行の政経学部の一般入試は次のようになっています。

・外国語(90点):英語、ドイツ語、フランス語から1つを選択。英語はコミュニケーション英語1、2、3、英語表現1、2.
・国語(70点):国語総合、現代文B、古典B
・地歴または数学(70点):世界史B、日本史B、数学(数学1、2、A、B)から1つを選択

2020年2月入試までは、「地歴または数学」で数学を選択しなければ、文系科目だけで政経学部を受験できます。

2021年2月の入試から数学が必須になる

2021年2月の入試から、政経学部は大学入学共通テストを使います。同テストはセンター試験の後継の試験です。
試験は200点満点で、その内訳は以下のとおりです。

・25点:外国語
・25点:国語
・25点:数学(数1・A)
・25点:地理歴史、公民、理科、数2・Bから1つ
(以上、大学入学共通テスト。以下、政経学部の独自試験)
・30点:英検などの外部検定試験
・70点:日本語と英語の長文読解

数学のウェートは、数2・Bを選択しない場合で12.5%、数2・Bを選択した場合で25%になります。数学を克服しないことには、憧れのワセダのセイケイに入ることはできません。

早稲田大政経学部の狙いとは

数学の必須化について、早稲田大政経学部長の須賀晃一教授(当時)は雑誌のインタビューで次のように回答しています。

「大学の内外の評価は真っ二つで、『(政経学部としての)本来の姿だ』というポジティブな評価と、『(受験産業への)影響が大きすぎて実行不可能ではないか』という厳しい意見がありました」

政経学部としての本来の姿というのは、政経学部に経済学が含まれているからです。現代経済学は、文系で教えているのが不思議なほど数学を多用します。例えば、景気判断や株価の予想ではスーパーコンピュータやAI(人工知能)を使いますので、数学の知識が欠かせません。
ところが数学を避けて入ってくる学生も少なくないことから、さすがのワセダのセイケイでも、大学の数学についていくことに苦労する人がいます。入試で数学の学力を調べるのは、国内最高峰の政経学部としては当然といえば当然といえます。

一方の受験産業への影響ですが、こちらはワセダのセイケイならではの悩みといえるでしょう。政経学部は国内文系私大の1、2を争う学部なので、ここを目指す受験生の多くは滑り止め大を受けることになります。文系受験生の滑り止め大の入試で数学が課されることはほとんどないので、そうなると多くの受験生は、早稲田大政経学部のためだけに数学を勉強しなければなりません。それに嫌気がさして、受験生が早稲田大政経学部を敬遠するかもしれません。

数学必須化は、ワセダのセイケイの誇りと大学経営を秤(はかり)にかけ、前者を選択した結果だったわけです。

まとめ

早稲田大政経学部はかつて、国内文系私大学部でトップの偏差値を誇っていました。ところが最近は慶応大の法学部や経済学部に抜かれています。もちろん世間的にはほぼ同列と考えられていますが、政経学部は早稲田大の看板学部だけにトップ奪還は至上命題なのでしょう。政経学部は数学を課すことで質の高い学生を確保して、再び頂点を目指すわけです。 受験生はチャレンジ精神が求められます。

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