東大と一橋は、ともに関東地方に位置する国立大学です。東大は「日本の最高学府」、一橋は「文系の最難関大学」といわれています。これら2つの大学の学力や難易度にどの程度の差があるのか、気になる受験生もいるのではないでしょうか。
本記事では、東大と一橋の学力や就職面での差について解説します。各大学の入試傾向や対策についても詳しく紹介するので、難関大学への受験を考えている高校生・浪人生は、ぜひ参考にしてください。
東大と一橋の概要
まずは、東大と一橋について、概要を押さえておきましょう。
東大と一橋の基本情報
以下は、東大と一橋の基本情報をまとめた表です。
東京大学 | 一橋大学 | |
学部学生数 | 14,058人 | 4,348人 |
学部 | 法学部、医学部、工学部、文学部、理学部、農学部、経済学部、教養学部、教育学部、薬学部 | 商学部、経済学部、法学部、社会学部、ソーシャル・データサイエンス学部 |
キャンパス | 本郷地区キャンパス、駒場地区キャンパス、柏地区キャンパス、白金台キャンパス、中野キャンパス | 国立キャンパス、小平国際キャンパス、千代田キャンパス |
創立年 | 1877年 | 1875年 |
※2024年5月時点
表を見ると、学部学生数の差が大きいことがわかります。東大は一橋の3倍以上の学部学生数となっており、学部やキャンパスの数も一橋の約2倍です。
創立年に関しては大きな差がなく、いずれの大学も明治初期に創設されています。
東京大学の特徴
東京大学は、10の学部を擁する国立の総合大学です。教育の本質をリベラル・アーツ教育としており、文理の枠にとらわれず、現代社会の課題解決に対応するスキルの習得を推進してきました。
カリキュラムの課程が前期と後期に分かれており、1~2年生の全員が教養学部からスタートします。前期課程の成績や学生一人ひとりの希望に応じて、3年生以降の後期課程で所属先の学部が決定する仕組みです。
学部の定員数は、「指定科類枠」「全科類枠」と呼ばれる2種類の枠が設けられています。指定科類枠では進学できる科類や受け入れ人数が決められている一方で、全科類枠は科類に関係なく学生を受け入れているのが特徴です。学生は基本的にどの学部にも進学可能であり、在学中に文転・理転しやすい体制が整っています。
一橋大学の特徴
一橋大学は、理系学部を持たない社会科学系の国立大学です。政治・経済分野の研究活動に力を入れており、幅広い学問領域の開拓や問題解決に取り組んでいます。近年の情報技術の進展に伴い、DX化に貢献できる人材の輩出を目指して、2023年4月にソーシャル・データサイエンス学部が新設されました。
少数精鋭教育の「ゼミナール」を必修としているところも特徴の1つです。平均7~8人ほどの少人数で討論や発表を実施する授業であり、学生が自発的に授業へ参加することに意義があります。
また、一橋大学には「如水会」という同窓会組織があり、卒業生とのつながりが強い点も大きな魅力です。如水会は、大学と卒業生の橋渡し役を務めるだけでなく、大学の教育研究活動をさまざまな形でサポートしています。
東大と一橋の学力の差は?
以下は、東大と一橋の偏差値を科類・学部ごとにまとめた表です。
大学 | 偏差値 |
東京大学 | 文科一類 67.5 文科二類 67.5 文科三類 67.5 理科一類 67.5 理科二類 67.5 理科三類 72.5 |
一橋大学 | 商学部 65.0 経済学部 65.0~72.5 法学部 67.5 社会学部 67.5 ソーシャル・データサイエンス学部 67.5~70.0 |
※2024年11月時点
東大の偏差値は、理科三類が72.5、その他の科類が67.5となっています。一方で、一橋は学部によって差がありますが、いずれも65.0以上と高い偏差値です。
偏差値で比較する限りでは、東大のほうが一橋よりもやや高い数値を示しているものの、学力としては大きな差はありません。
東大と一橋の就職面での差は?
東大と一橋の差について、卒業後の就職先を参考に解説します。
東大の学部卒業生の就職先
以下は、東大の2023年度学部卒業生の主な就職先を学部ごとにまとめた表です。
学部 | 就職先の主な業種 |
法学部 | 公務/金融業・保険業/サービス業 |
医学部 | 医療、福祉/学術研究、専門・技術サービス業/情報通信業 |
工学部 | 情報通信業/製造業/サービス業 |
文学部 | 情報通信業/金融業・保険業/製造業 |
理学部 | 電気・ガス・熱供給・水道業/製造業/学術研究、専門・技術サービス業 |
農学部 | 公務/サービス業/金融業・保険業 |
経済学部 | 金融業・保険業/学術研究、専門・技術サービス業/情報通信業 |
教養学部 | 情報通信業/金融業・保険業/公務 |
教育学部 | 教育・学習支援業/サービス業/金融業・保険業 |
薬学部 | 医療、福祉/金融業・保険業/製造業 |
※引用元:東京大学|学部卒業者の卒業後の状況
どの学部も、金融業・保険業やサービス業への就職者が多い傾向にあります。
理系の学部では、エネルギー業や技術サービス業への就職も多いようです。また、医学部と薬学部については、医療・福祉系への就職者が見られます。
一橋の学部卒業生の就職先
以下は、一橋の2023年度学部卒業生の主な就職先を学部ごとにまとめた表です。
学部 | 就職先の主な業種 |
商学部 | 金融・保険業/サービス業/製造業 |
経済学部 | 金融・保険業/サービス業/情報通信業 |
法学部 | サービス業/官公庁/金融・保険業 |
社会学部 | サービス業/情報通信業/製造業 |
※引用元:一橋大学|2023年度(令和5年度)学部卒業生進路状況
いずれの学部も、サービス業への就職者が多い傾向にあります。法学部は2割以上の学生が法科大学院へ進学し、ほかの学部よりも官公庁へ就職する卒業生の割合が高いのが特徴です。
一橋は文系の単科大学であるため、総合大学の東大とは異なり、技術サービス業や医療・福祉系への就職者はいないようです。
東大と一橋の入試難易度には差がある?
最後に、東大と一橋の倍率や入試傾向から、入試難易度の差を紹介します。東大や一橋への進学を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
東大と一橋の倍率
以下は、東大と一橋の倍率を学部ごとにまとめた表です。
大学 | 倍率 |
東京大学 | 文科一類 2.8 文科二類 2.9 文科三類 3.0 理科一類 2.4 理科二類 3.4 理科三類 2.9 |
一橋大学 | 商学部 3.5 経済学部 3.4 法学部 3.2 社会学部 3.4 ソーシャル・データサイエンス学部 3.8 |
※2024年度の2段階選抜実施状況
東大の倍率の平均は2.9、一橋の倍率の平均は3.46です。平均倍率で判断すると、一橋のほうがやや人気であるとわかるでしょう。
東大の倍率は科類によって大きく異なり、理科一類と理科三類を比較すると0.5の差があります。一方で、一橋の倍率についても、法学部とソーシャル・データサイエンス学部で0.6の差があります。
東大の入試の特徴
東大の入試はどの科目も問題の分量が多く、問題を解く際の時間配分や速読力が求められます。出題範囲が広く頻出分野を絞るのは難しいため、まずは教科書に載っているレベルの内容をしっかりと理解し、幅広い知識を身につけてください。
英語は実践的かつ総合的な能力が求められますので、正確な英語力を養う必要があります。難易度は標準レベルであり、応用問題ばかり出題されるわけではありません。なるべく早い時期から基礎を固められるように、英単語・英文法・リスニングなどを毎日少しずつ取り組むとよいでしょう。
数学は各単元から幅広く出題されるため、標準レベルの問題を確実に解けるようにしてください。高校1~2年生で習う範囲を完璧にし、不得意な分野をなくすことが大切です。
一橋の入試の特徴
一橋の入試はどの科目も記述式問題が多く、教科書よりも高いレベルの解答を求められる傾向にあります。基礎学力を十分に身につけたうえで、記述力や語彙力を高める学習をしましょう。
地理公民は資料が複雑であり、題意を掴みにくい問題が多く見られます。周りと差をつけたいのであれば、世界の経済状況や環境問題などに日頃から関心を持つようにしましょう。過去問で出題されたテーマについて多角的な視点から理解し、幅広い知識を獲得してください。
また、文系大学でありながら、数学の入試難易度はトップクラスといわれています。数学的な思考力を身につけるために、自力で定理を証明できるまで勉強しましょう。
まとめ
東大や一橋は偏差値に大きな差はないものの、入試傾向には違いが見られます。どちらも難易度が高く、合格を目指すには十分な対策が必要ですが、独学する場合は自力でスケジュールを管理しながら計画的に進めなければなりません。
東大や一橋の入試に特化した対策をするのであれば、塾や予備校の利用も検討してみましょう。塾・予備校を探している高校生・浪人生は、「イチオシ予備校一覧ページ」をチェックしてみてください。
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