大学時代に留学をしておくと、さまざまな能力が得られてキャリアを高めることが期待できます。また、就職の際に企業から好印象を得られるなどもメリットの一つです。この記事では、大学時代に留学をするメリットや、実際に留学をする場合におすすめの大学選びのポイントについて、留学の選択肢とあわせてご紹介します。
大学生の留学について知ろう!
大学で留学をする人の数は、年々増加傾向です。ここでは、大学時代に海外で留学をした人の数やメリット・デメリット、大学生の留学が多い国と学部について紹介します。
大学生の留学者数の推移
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が2022年3月に発表した「2020(令和2)年度日本人学生留学状況調査結果」によると、日本人学生留学状況は一定の割合で増加傾向です。
年度 |
日本人留学生の人数 |
2015年 |
5万4,455人 |
2016年 |
6万810人 |
2017年 |
10万5,301人 |
2018年 |
11万5,146人 |
2019年 |
10万7,346人 |
2020年以降は、新型コロナウィルス感染症の影響で、海外渡航の制限があったため、留学する余地がありませんでした。2022年現在も感染症対策は欠かせないものの、韓国やアメリカ、カナダ、イギリスなどへ渡航が可能となり見通しがやや明るくなってきています。大学で学びを深める選択肢の一つとして、留学を考えてみるのも一案でしょう。
大学生が留学するメリット・デメリット
大学生は、社会人に比べると留学するハードルが低いといえます。社会人になってから海外で学ぶ選択肢には、ワーキングホリデーや短期留学が選択可能です。ワーキングホリデーは、比較的長く海外で経験できるものの、現在の職場を休職するか退職するかの選択を迫られます。
また、就職したばかりで留学のために休みをとるのは難しいでしょう。大学生が留学する場合、留学後は大学に戻れます。さらに、海外の大学で学んだことが大学の単位に加算できれば、短期留学にこだわらなくても卒業のタイミングが遅くなりません。
留学をすると、国内にとどまらない広い人脈を得たり、海外から日本を見て日本の良さや課題を発見したりできる可能性が高まります。進路の視野を広げて就活にアピールできれば、将来のキャリアアップに大いに活かせるでしょう。
一方、留学期間が長ければ、費用負担が大きくなったり、卒業や就職活動に影響したりするデメリットがあります。留学を検討する際は、自分の目標をしっかりと見据えて準備するなど、留学のデメリットを克服する積極性も重要です。
大学生の留学が多い国と学部
2019年の日本人留学生の状況を分野別で見ると、人文科学分野の学生が全体の57.1%と最も多く、社会科学分野の学生が9.7%、工学分野の学生が8.2%、医・歯学を含む保健分野の学生が5.8%と続きます。
また、日本人が多く留学している国のTOP10は、以下の通りです。
順位 |
国名 |
割合 |
1位 |
アメリカ合衆国 |
15.6% |
2位 |
カナダ |
7.6% |
3位 |
オーストラリア |
7.3% |
4位 |
フィリピン |
6.4% |
5位 |
イギリス |
6.0% |
6位 |
韓国 |
5.0% |
7位 |
フランス |
3.6% |
8位 |
ドイツ |
3.3% |
9位 |
アイルランド |
0.8% |
10位 |
マルタ |
0.6% |
大学で留学するなら2、3年生がおすすめ
1年生 |
・大学生活に慣れていないため、留学に集中できない可能性がある ・交換留学制度は、2年生が対象のことが多く利用できない可能性がある |
2年生 |
・ゼミの影響を受けずに留学ができる ・1年生の内に単位を多めに取得しておけば休学しなくても留学する余地がある |
3年生 |
・アルバイトで留学費用を貯めたり専門性や語学力を高めたりと準備をしてから留学に臨める |
4年生 |
・単位取得や卒論、就職活動に忙しい時期 ・長期の留学は難しくても、卒業就活や卒論を終えたあとなら卒業旅行を兼ねて短期留学ができる |
学部生の場合には、大学生活に慣れて就職までの準備期間が十分とれる2、3年生のころがおすすめです。各学年の特徴や、大学生活の状況を踏まえて、いつ留学するのがよいか考えてみましょう。
留学にかかる費用の目安
大学で留学をする際の費用は、留学先の国や滞在期間、留学スタイルなどによって大きく異なります。
しかし、一般的には、1年間の留学で100万円~300万円程度の費用がかかります。
留学費用の内訳は、以下のようなものがあります。
- 学費
- 生活費(家賃、食費、交通費、娯楽費など)
- 航空券代
- 保険料
- ビザ取得費用
- その他の費用(教材費、留学先でのアルバイト代など)
留学費用を抑えるためには、以下の方法があります。
- 留学先を安価な国に選ぶ
- ホームステイや寮に住む
- 現地でアルバイトをする
- 奨学金を利用
- 大学や自治体などの留学支援制度を利用
大学で留学をする際には、留学費用を事前に計算し、十分な準備をしておくことが重要です。
なお、留学先として特に高い国は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、フランス、ドイツなどです。これらの国では、学費や生活費が高いため、留学費用がかさみます。
留学先として特に安い国は、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム、中国、韓国などです。これらの国では、学費や生活費が安いため、留学費用を抑えることができます。
留学先を選ぶ際には、留学費用を十分に考慮することが大切です。
大学生が利用できる留学をサポートできる制度
大学生が利用できる留学をサポートできる制度には、以下のようなものがあります。
- 大学の留学支援制度
- 自治体の留学支援制度
- 民間の留学支援制度
- 奨学金
大学の留学支援制度は、大学が独自に設けている留学支援制度です。大学の留学支援制度には、授業料の免除や減免、生活費の補助、現地でのアルバイトの斡旋など、さまざまな種類があります。
自治体の留学支援制度は、自治体が独自に設けている留学支援制度です。自治体の留学支援制度には、授業料の免除や減免、生活費の補助、現地でのアルバイトの斡旋など、さまざまな種類があります。
民間の留学支援制度は、民間企業や団体などが設けている留学支援制度です。民間の留学支援制度には、授業料の免除や減免、生活費の補助、現地でのアルバイトの斡旋など、さまざまな種類があります。
奨学金は、家庭の経済状況が一定基準以下である学生に、返済義務のある貸与型と、返済不要の給付型の2種類があります。奨学金は、留学費用の一部を補助する際に利用することができます。
大学生が留学をする際には、これらの制度を活用することで、留学費用を抑えることができます。
留学を目指す大学選びの方法
大学に入学してから留学を検討する場合は、志望校を決める目安として以下のような大学を選択するのも一案です。
スーパーグローバル大学
文部科学省では、徹底した国際化に取り組む大学を「スーパーグローバル大学創成支援事業」として支援しています。採択大学が設定している主な指標の一つに「日本人学生に占める単位取得を伴う留学経験者の増加」「大学間協定に基づく派遣日本人学生の増加」があり、学生の留学をサポートしているのです。
スーパーグローバル大学として採択されているのは、以下の大学です。
タイプA(トップ型) 13校 |
タイプB(グローバル牽引型) 24校 |
北海道大学 東北大学 筑波大学 東京大学 東京医科歯科大学 東京工業大学 慶應義塾大学 早稲田大学 名古屋大学 京都大学 大阪大学 広島大学 九州大学 |
国際教養大学 会津大学 千葉大学 東京外国語大学 東京芸術大学 国際基督教大学 芝浦工業大学 上智大学 東洋大学 法政大学 明治大学 立教大学 創価大学 金沢大学 長岡技術科学大学 豊橋技術科学大学 国際大学 京都工芸繊維大学 奈良先端科学技術大学院大学 立命館大学 関西学院大学 岡山大学 熊本大学 立命館アジア太平洋大学 |
※2017年3月15日時点
留学派遣者数の多い大学
留学生の派遣実績も、大学時代に留学を検討するための選択肢として有力な情報です。2019年に多くの留学生を派遣している大学TOP10は、以下の通りです。
順位 |
大学名 |
派遣人数 |
1位 |
立命館大学 |
133人 |
2位 |
関西大学 |
122人 |
3位 |
青山学院大学 |
54人 |
4位 |
沖縄国際大学 |
49人 |
5位 |
横浜市立大学 |
44人 |
6位 |
東京成徳大学 |
36人 |
6位 |
早稲田大学 |
36人 |
8位 |
近畿大学 |
33人 |
9位 |
創価大学 |
31人 |
10位 |
琉球大学 |
30人 |
大学生の留学方法の特徴と費用
大学生が留学する場合は、大学に申し込むプログラムと留学エージェントなどに直接自分で申し込む方法など、さまざまです。なお、海外で経験を積む方法は、大学へ留学する方法に限らず、海外インターンシップやボランティアなどもあります。幅広く情報収集して、自分にあった目的や予算などを検討しましょう。
期間 |
短期(1週間~3ヵ月) |
中・長期(半年~2年) |
||
留学方法 |
短期留学プログラム |
その他の留学 |
在籍大学のプログラム |
その他の留学 |
申込先 |
在籍大学の窓口 |
・海外の学校やプログラム、政府、民間団体へ直接申し込み |
在籍大学の窓口 |
・海外の学校やプログラム、政府、民間団体へ直接申し込み |
メリット |
・一部のプログラムは教員の引率ありやグループで参加可能 |
・渡航先、留学内容、期間、予算などが自由に選べる |
・授業料は大学負担(自己負担なし) ・本格的に語学力や異文化対応力の向上が図れる |
・渡航先、留学内容、期間、予算などが自由に選べる |
デメリット |
・期間が短く物足りなさを感じることがある ・慣れる前に留学期間が終わってしまう可能性がある |
・費用がかかる |
・学内選考があるため必ず行けるとは限らない |
・費用がかかる |
単位互換 |
一部可能 |
基本的にできない |
基本的に可能 |
できないことが多い |
準備期間 |
1ヵ月~半年 |
半年~2年 |
||
費用の目安 |
・授業料:15万~50万円/月 ・滞在費:5万~15万円/月 ・渡航費:10万~20万円 |
プログラムにより大きく異なる |
交換留学の場合 |
プログラムによる |
語学力 |
原則不問 |
TOEFL・IBT 61以上、IELTS 5.5以上など要件があることが多い |
受入先により異なる |
|
成績 |
原則不問 |
要件あり |
受入先により異なる |
留学に関する情報は、国と民間企業が協働で支援している「トビタテ!留学JAPAN」でも確認できます。また、留学費用は日本学生支援機構や大学、都道府県、各種法人などで運営されている奨学金が利用できる可能性があるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
大学生が留学をする際に気を付けるべきこと
大学生が留学をする際に気を付けるべきことは、以下のようなものがあります。
- 語学力
- お金
- 文化の違い
- 体調管理
- 安全対策
語学力は、留学生活を送る上で最も重要です。語学力がないと、授業についていけなかったり、現地の人と交流できなかったりする可能性があります。そのため、留学をする前に、十分な語学力を身につけることが重要です。
お金も、留学生活を送る上で重要です。留学には、学費や生活費、航空券代など、多くの費用がかかります。そのため、留学費用を事前に計算し、十分な準備をしておくことが重要です。
文化の違いも、留学生活を送る上で気を付けるべきことです。日本と留学先の国では、文化や習慣が異なります。そのため、文化の違いを理解し、尊重することが重要です。
体調管理も、留学生活を送る上で重要です。留学先では、日本とは異なる食事や気候にさらされます。そのため、体調管理をしっかりし、病気にかからないようにすることが重要です。
また、日本とは異なる犯罪率や治安状況があります。そのため、安全対策をしっかりし、犯罪に巻き込まれないようにすることが重要です。
大学生が留学をする際には、これらのことを気を付けることで、安全で充実した留学生活を送ることができます。
まとめ
日本では、国際競争力を高めるなどの目的で留学を後押ししています。大学時代に留学をすると、さまざまな気づきを得て、能力が高められます。自分の進路を検討する際の参考として、志望校で留学が可能かどうかも検討してみましょう。
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