東大も文系も!メタバースやVR・ARが学べる学部・学問を紹介
メタバースは、オンライン上のコミュニケーション方法が大きく変わるものとして注目を集めています。例えば、東京大学では2022年後期からメタバース工学部が創設されるなど、大学でも学問としてメタバースを取りあげています。本記事では、メタバースの概要や東大、その他大学におけるメタバース関連の教育事例を紹介します。
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メタバースは、将来一般的なビジネスに活用される可能性を秘めています。まず、メタバースが社会や大学でどのように取り入れられているかをご紹介します。
メタバースの概要
メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間です。メタバースでは、ユーザーは自分の分身であるアバターを使って、ゲームやコミュニケーションを楽しんだり、仕事や学習を行ったりすることができます。
メタバースはまだ開発途上ですが、将来的には、現実世界と仮想世界が融合し、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。たとえば、メタバースでは、現実世界ではできないような体験をしたり、現実世界ではできないような人と出会ったりすることができます。また、メタバースでは、現実世界ではできないような仕事や学習を行うことができます。
メタバースは、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めた新しい技術です。
メタバースの社会実験事例
イギリスの週刊科学雑誌『ニュー・サイエンテイスト(New Scientist)』では、メタバース空間で1週間業務を行う実験を行い、現実空間との差異などから課題の分析を行っています。国内では、九州地方整備局がインフラ整備における優れた3D設計技術を開発するために2018年にVR研究室を設置。
2019年には「VR技術を用いた川づくりの推進」について、VR研究室と土木研究所が連携して取り組みを始めています。
大学におけるイベント事例
メタバースは、大学のイベントなどにも取り入れられています。例えば、東京理科大学では、2023年4月から理工学部が「創域理工学部」に名称を変更します。これを受けて2022年7月に産学連携したメタバース上での異分野交流イベントが実施されました。
「創域」とは、学生や研究者、一般の方の交流から新たな知見やつながりの獲得を目指したものです。イベントでは、地震や火災をリアルタイムに体感する実験や3Dで表現された立体視動画などを用いて、メタバースやVRの可能性を体験しました。
一方、アメリカのスタンフォード大学では、「Virtual People」というVR環境を用いるコースがあり、学習はMeta社のVRヘッドマウントディスプレイを用いて3次元上で実施されています。授業では、VR技術の社会への浸透や技術的進化を学ぶ内容をはじめ、人種的不平等に直面する人生を体験して人種的寛容さを学ぶ課外授業など行われているのが特徴です。
東大のメタバース工学部とは
2022年度の後期から東京大学大学院工学系研究科と工学部は、中高生や社会人を対象にデジタル技術を駆使して工学関連の教育機会を提供する「メタバース工学部」を設立しています。
メタバース工学部設立の目的
メタバース工学部が目指すのは、DX人材育成やダイバーシティ推進の加速です。2022年現在、急速な技術発展や、働き方の多様化に伴い、DX人材が不足しています。2022年2月4日に内閣府が公表した「デジタル人材の育成・確保に向けて」によると、デジタル社会の推進に最低限必要な人数を、2022年度からの5年で約230万人増やすとしています。
2024年までにデジタル人材を育成する計画が立てられ、大学や企業などから育成する人員の目論見を設定している状態です。東大のメタバース工学部では、すべての人が工学や情報を学べる教育システムを構築して、DX人材育成を行い、特に人数が少ない工学や情報学を志す女子中高生を増やす狙いもあります。
メタバース工学部の講座概要
東大のメタバース工学部では、以下の表のようなキャリア情報や教育プログラムが提供されます。
名称 | 主な対象 | 主な狙い | 概要 |
工学キャリア総合情報サイト | 中高生・工学部生 | 工学分野におけるダイバーシティ推進の加速 | ・工学キャリアに関する総合情報サイトで女性工学キャリアの情報提供 |
ジュニア工学教育プログラム | 中高生・保護者 | 工学や情報の魅力を早期に伝える | 産学連携でオンラインと対面を組み合わせた工学教育プログラムの提供 |
リスキリング工学教育プログラム | 社会人・学生 | 社会人や学生の学び直しやリスキリングの支援 | 最新の工学や情報をオンラインで学ぶ教育プログラムの提供(受講生に修了証を発行) |
東大生が学べること
東大のメタバース工学部は、単に対外的に情報や学びの場を提供するだけではありません。メタバース工学部の活動は、産学連携で行われます。具体的には、工学部生と工学系研究科の大学院生からなる「テックアンバサダー」と、産業側の若手社員からなる「工学キャリアアドバイザー」が活動に加わっているのが特徴です。
人脈形成だけでなく、それぞれの立場でアイデアを出し合うことで、学生の研究に技術開発の現場やビジネスの視点が加わるため、実践的な気づきに役立てられるでしょう。
メタバースが学べるおすすめの大学
メタバースは、将来的により一層身近になる可能性を秘めており、さまざまな学問と関連があります。ここでは、メタバースに関連する学問領域について解説します。
VR・AR技術が学べる学部・学科
メタバースに欠かせないVR・AR技術は、大学で学べます。ソフトウェアデザイン学が中心ですが、以下のように多くの学問が関連しています。
●ソフトウェア
●デザイン学
●電子デバイス・電子機器
●商学
●情報ネットワーク
●設計工学・機械機能要素・トライボロジー
●機械材料・材料力学
●都市計画・建築計画
●生産工学・加工学
●情報学基礎理論
●マルチメディア・データベース
ここでは、メタバースに関連する学問が学べる大学をいくつかピックアップしてご紹介します。
学問名 | 大学・学部学科例 |
ソフトウェア | ・大阪大学 |
デザイン学 | ・千葉大学 |
電子デバイス・電子機器 | ・東北大学 |
商学 | ・早稲田大学 |
情報ネットワーク | ・大阪大学 |
設計工学・機械機能要素・トライボロジー | ・東京工業大学 |
機械材料・材料力学 | ・東北大学 |
都市計画・建築計画 | ・東京大学 工学部 都市工学科 都市計画コース 工学部 建築学科 ・早稲田大学 人間科学部 人間環境科学科 創造理工学部 建築学科 ・京都大学 工学部 建築学科 ・東京都立大学 都市環境学部 建築学科 都市環境学部 都市政策科学科 ・九州大学 工学部 建築学科 芸術工学部 芸術工学科 環境設計コース など |
生産工学・加工学 | ・大阪大学 |
情報学基礎理論 | ・京都大学 |
マルチメディア・データベース | ・東京大学 |
文系大学でもメタバースが学べる
ここまで紹介してきた学問は、理系の領域が多く見られますが、文系大学でもメタバースが導入され始めています。例えば、2023年4月には、関西外国語大学の外国語学部に「英語・デジタルコミュニケーション学科」が新設される予定です。
メタバース演習室は、ラウンジとスタジオがある本格的な設備で、高度な英語力やデジタルスキルを習得するのに役立てられます。
大学でメタバースを学び未来に活かそう
メタバースは、将来のコミュニケーション方法の一つとして、産学を問わずさまざまな分野で注目されている傾向です。大学では、理系学部に限らずデザインや商学、文系学部などでもメタバースに関連する内容が学べます。大学選びをする場合には、メタバース関連の内容が学べるのかに注目するのも一案です。