早慶は数学が必須になる!?早稲田政経の数学必須化を考える
文系受験の最難関の一つとなる早稲田大学の政治経済学部は、2021年2月入試から数学が必須科目になりました。文系学生にとって数学を選択しないと受けられない大学が登場したことは、衝撃といえます。
2021年時点で早稲田大学の文系入試で数学必須は政経のみですが、今後早稲田だけでなく慶應をはじめ他の私大にも影響がある可能性もあるかもしれません。なぜ、早稲田政経は数学必須化に踏み切ったのでしょうか。また、文系受験全体への影響はあるのでしょうか。
早稲田の政経学部の入試で数学が必須に
早稲田大学の政経学部で数学の受験科目が必須になることは、2018年から発表されていました。実際に、スタートしたのは2021年度受験(2021年2月入試)から。政治経済学部の一般入試のポイントは、次の通りです。
・入試の概要
入試の選抜方法は、政治学科、経済学科、国際政治経済学科とも共通で、合計200点満点です。大学入学共通テストと、学部独自試験の2本柱で選抜されます。
・試験形式
1)大学入学共通テスト(100点)
①外国語(1言語を選択)
・英語(リスニングを含む)
・ドイツ語
・フランス語
② 国語
③ 数学Ⅰ・数学A
④ 選択科目(次の中から1科目を選択。理科の場合のみ2科目を選択)
・地理歴史「世界史B」「日本史B」「地理B」
・公民 「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」
・数学 「数学Ⅱ・数学B」
・理科 「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」
(「物理」「化学」「生物」「地学」から1科目でも可)
2)学部独自試験(100点)
総合問題で120分間。日本語と英語の長文問題で、記述解答を含みます。このうち、1)大学入学共通テスト(100点)で「③ 数学Ⅰ・数学A」が新設された点が今回話題になっている数学の必須化です。
文系の学生たちに数学必須のインパクト
数学必須化直前の2020年における、一般入試の受験者数は5,584人でした。対して、必須化された2021年の一般入試では3,495人と大幅に減少。3年間の猶予期間があったとはいえ、文系学生にとって数学が受験の大きなハードルとなったことは明らかといえます。慶應では、経済学部や商学部の一次試験のうちA方式で数学が必要です。
このように、一部の早慶の文系学部では2021年現在でも入試方式の選び方で、数学を選択しなければなりません。しかし、早稲田の政経が数学必須化したからといって、すぐに早慶のその他の文系学部をはじめ文系受験全体が数学必須になるとは考えづらいのが現状です。
ただし、数学を受験できるレベルまで仕上げておけば、以下のようなメリットがあります。
文系で数学を選択するメリット
文系受験生が数学で受験できると、次のようなメリットがあります。
1.国立文系との併願に有利
国立大学の文系学部の受験では、数学が含まれるケースが大半です。そのため、国立と私立の併願を有利にできます。最初から数学を捨ててしまうと、選択肢が大きく狭まってしまいかねません。
2.合格可能性が高まる
選択科目に数学があっても、文系の受験生は地歴公民で受験することが一般的です。そのため、数学の受験者数は少なく、理系では数学のレベルが合格ラインに届かなくても文系では十分に平均点以上の高得点を狙えます。
3.文系の学問を深く学べる
文系学問のうち、経済学や政治学を学ぶうえで統計学やミクロ経済学、政策立案など数学の知識が幅広く必要です。また、最近は人文科学の研究でも数学的な分析やアプローチが取り入れられているので、入学してからより理解が深まるでしょう。
このように、数学を選択できれば、入試を有利に進められるだけではなく、入学後の勉強にもおおいに役立つのです。
文系受験での数学選択を検討してみよう
2021年時点において文系受験で、すぐに数学の必須化が浸透する可能性は低いでしょう。ただ、早稲田政経を受ける場合はもちろん、数学を選べれば早慶の難関文系学部への合格可能性も高くなります。一度、数学を文系受験のレベルまで引き上げられないか、振り返ってみてください。