大学受験用の参考書は「無駄に買う」ほうがよい

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大学受験用の参考書を、どのように選んでいますか。また、購入した参考書をどのように使っていますか。もし「参考書は厳選した1冊を買い、その1冊を徹底的に仕上げよう」という助言を信じ切っているとしたら危険です。

なぜならその助言は、参考書の種類が少なかったころに受験をした「大人」が言っていることだからです。

昔は「評判のよい参考書」と「そうでもない参考書」の2種類くらいしかありませんでしたが、現代は参考書の種類が爆発的に増え、「自分に合った参考書」と出会うことができます。

そのためには、参考書は「無駄に多く買ったほうがよい」のです。買った参考書で勉強を進めているうちに「なんか違う」と思ったら、別の参考書に移ったほうが効率よく勉強できます。

それでは、参考書を「1冊に絞らないほうがよい理由」を4つと、「複数冊買ったほうがよい理由」を5つ紹介していきます。なお、ここで言う「1冊」とは、1つの教科につき「1冊」という意味です。

生き残るのは強いものでも賢いものでもない。変化できるものだ

本題に入る前に、ひとつ知っておいてほしいことがあります。ここでは「参考書は複数冊買ったほうがよい」理由を重点的に解説していきますが、受験生のなかには「1冊徹底主義」が肌に合う人もいるでしょう。そのような受験生は、「わざわざ複数の参考書を買う必要はない」と考えるかもしれません。

しかし受験は長丁場ですので、そのなかで調子が出ないこともあります。そのとき、1冊徹底主義の人が、気分転換に複数冊主義に転向すると、再び調子を取り戻せる可能性があります。

大学受験の勝者は多数います。受験生は1位になる必要はなく、多数の勝者のなかに入りさえすればよいのです。そのためには、勝ち上がることに固執するだけではなく、生き残ることも考えなければなりません。

進化論を説いた生物学者ダーウィンは、「生き残るのは強いものでも賢いものでもない」と語っています。生き残るのは「変化できるもの」です。

参考書選びや勉強法も、「違うな」と感じたら恐れず、ぜひ違う方法を試していきましょう。

【1冊に絞るな:その1】なんのために参考書を使うのか

参考書を1冊に絞らないほうがよい理由その1は、「参考書は講師のようなものだから」です。

例えば、中学時代から長らく数学が苦手だったのに、高校2年生になった途端に数学が得意になる人がいます。ある日を境に苦手だった教科が好きになることは珍しくありません。

そのきっかけとなるのが、教師です。教師が変わっただけで、それまでよく理解できなかった勉強が、急に理解できるようになることがあるのです。

教師と生徒の相性はとても大切です。どれほど優秀な教師でも、すべての生徒に均等に理解させることはできません。それは、基礎を教えるのが上手な教師や、応用問題の解き方を教えるのがうまい教師など、さまざまタイプの教師がいるからです。

基礎を教えるのがうまい教師の授業は、まだ学力がそれほどついていない生徒にはマッチしますが、すでに基礎を身につけた生徒には退屈でしょう。また、応用問題の解き方を教えるのが上手な教師の授業は、成績優秀者には好評ですが、基礎が身についていない生徒には理解できません。

参考書にもこれとまったく同じことが言えるのです。無駄な記述が一切なく簡潔に説明してある参考書のほうが「読みやすい」と感じる生徒がいる一方で、まるで話し言葉のように説明書きが長い参考書のほうが「理解しやすい」感じる生徒もいるのです。

では、参考書はなんのために使うのでしょうか。それは学校や塾や予備校での授業では十分に勉強を理解できないからです。どれだけ優秀な教師や講師であっても、限られた授業時間内で受験に必要な知識をすべて教えることはできません。

参考書は教師や講師が伝えきれなかったことを教えてくれるツールなのです。したがって、「教師と生徒の相性」が大切なように、「参考書と生徒の相性」は重要なのです。だから参考書は「優れたもの」を探すだけでなく、「自分に合ったもの」を見つけなければならないのです。

【1冊に絞るな:その2】「1冊を何回もやれ」神話はなぜ生まれたのか

それではなぜ、「参考書は1冊を何回もやれ」という教えがこれほど広まったのでしょうか。
それは、昔はよい参考書が少なかったからです。インターネットやWebサイトが受験勉強に活用され始めたのは、ほんの10数年前のことにすぎません。

ネットがなかった時代は大学受験用の参考書の情報はそれほど流通していませんでした。そのため、よい参考書を作ることができる先生は限られていました。

そのころは「伝説の参考書」といったものがありました。その参考書さえ入手すればステップアップが可能で、逆にその参考書で学ばなければ壁を乗り越えられなかったのです。

仮に現在40歳の教師や講師がいたら、10数年前は20代後半です。つまりネットが普及するはるか前に受験を経験しています。ということは「伝説の参考書」を信じる世代なのです。そのような教師や講師は「この1冊さえやっていれば大丈夫」とつい考えてしまいがちなのです。

しかし、インターネット時代に入って受験情報が拡散するようになると、クオリティが高い参考書が多数出版されるようになりました。また、コンピュータで参考書をデザインできるようになり、図やグラフや写真を使うことも簡単になりました。つまり読みやすい構成やレイアウトを作れるようになったのです。

もし教師や講師から「この1冊さえやっていれば大丈夫」と参考書を勧められたら、ぜひ書店に行って目を通しましょう。できれば購入して取り組んでみて、「肌に合わないかもしれない」と思ったら、遠慮なく別の参考書を探しましょう。

【1冊に絞るな:その3】受験自体が複雑になった

参考書を1冊に絞ってしまうと、その参考書の著者の考えしか身につきません。しかし受験方法は年々複雑化しています。ということは「伝統的な参考書」の場合、その著者が現行の受験制度に合わせた改訂を行っていない限り、いまの時代にマッチしない可能性があるのです。

「1冊徹底主義」の人は、学問の神髄は普遍的でいちど「正しい教えである」と評価された参考書は、その人にとって「正しい教え」でありつづけるのです。これは決して間違った考えとは言えません。しかし、試験の出題傾向が、暗記力が試される内容から、思考力や洞察力を問われる内容へと変わったら、参考書での教え方もそれに合わせて変えていかなければなりません。改訂が行われていない「伝統的な参考書」では、そこまでフォローができないことは明らかです。

【1冊に絞るな:その4】「合わない参考書」に付き合う必要はない

参考書を1冊に絞らないほうがよい4つめの理由は、「自分に合わない参考書」に付き合う必要はないからです。
ここで注意したいのは「合う参考書」がよい参考書で、「合わない参考書」が悪い参考書というわけではない、ということです。
例えば、同じ大学を目指す受験仲間が自分を含めて5人いて、そのうち4人が「よい参考書」と認めたものでも、自分にとっては「合わない参考書」になるかもしれないのです。
「合わない参考書」とは、遠慮なくスッパリと別れましょう。

【複数冊買おう:その1】複数冊を何回もやったほうがいい、のは当たり前

さて次に、参考書を複数冊買うメリットについて解説します。

複数冊買ったほうがよい理由その1は、複数冊を何回もやったほうがよいからです。参考書を使った勉強のパターンには次の4種類があります。

A:1冊の参考書を1回しかやらない
B:1冊の参考書を複数回やる
C:複数冊の参考書をそれぞれ1回ずつやる
D:複数冊の参考書をそれぞれ複数回やる

Aが最もよくない勉強方法であること、Dが最もよい勉強方法であることは明らかです。ここで問題なのがBとCの違いです。勉強時間と勉強の密度は、BもCもほとんど変わりません。

Bは同じ文章を複数回読むことになるので、記憶の定着が進みます。一方で、Cは新しい知識を仕入れることができます。というわけで、BとCはメリットが似ています。

しかし、Cを採用すれば、Bでは絶対に真似できない勉強法が実施できるのです。Cを採用することによって、CもBもいずれも実施できます。

Bの場合、家には1冊の参考書しかないので、1冊に集中するしかありません。しかしCを採用した受験生は、もし複数の参考書のなかに「この参考書のエッセンスを徹底的に吸収したい」と思えるものがあったら、急遽B方式を採用することができるのです。

【複数冊買おう:その2】内容だけではなく表現方法も重要

参考書を選ぶときに注意してほしいのは、その参考書が教えている内容に注目するだけでなく、「どういった表現方法で教えているか」にも着目してほしいのです。参考書の表現方法には主に、次の2種類があります。

・「AはBであり、BはCなので、AはCである」という表現方法

・「AはCになるのですが、それはAはBであり、BはCだからです。つまりA=B=Cとなるので、A=Cとなるのです」という表現方法

実はどちらもまったく同じ内容を伝えています。前者は簡潔に余分な表現を一切排除して説明していますので、得意科目で使うのがよいでしょう。一方で後者は、少し回りくどい表現になっていますが、苦手科目を克服するにはこれくらい丁寧に書いてある参考書でないと難しいでしょう。

苦手科目を勉強するときに、参考書にいきなり「AはBであり…」(前者のタイプ)と書かれてあると、「なぜ急にAとBが出てくるんだ?」と混乱してしまいます。
しかし、後者のタイプの参考書であれば「これからA=Cの話をするのか」と、参考書の主旨がわかります。

しかし、基礎ができている人が後者のタイプの参考書を使うと「説明がまどろっこしい。結論を早く知りたい」とストレスを感じるでしょう。
参考書の著者が受験生に伝えたい内容は、同じ教科であればどの参考書もほとんど同じです。しかし表現方法には、著者の個性が出ます。なぜなら著者によって「想定する読者(受験生)」が異なるからです。受験生が参考書を選ぶときは、「自分はこの著者が想定する読者だろうか」という視点を忘れないでください。

【複数冊買おう:その3】新鮮さが大切。受験を苦行にしないで

参考書の出版社や著者は、参考書の装丁(本のデザイン)に凝っています。複数の参考書を持っていると、机の上が華やかになるでしょう。

受験勉強は「コツコツ」「黙々」と進めなければなりません。それでどうしても「陰々滅々」としてきます。
しかし受験勉強を苦行にする必要はありません。受験勉強は知的欲求を満たすインテリジェンスな行動です。賢くなっていくことに喜びを感じることができるのです。そして複数の参考書は、受験勉強に新鮮さをもたらします。

【複数冊買おう:その4】「これ、どこかに書いてあったな」という感覚が大切

複数の参考書に目を通すと、「あれ?これ、どこかに書いてあったな」と、頻繁に感じるようになります。この感覚は記憶の定着を促します。またA参考書にもB参考書にも同じことが書いてあったら、「試験に出る可能性が高い内容」といえます。
さらに言えば、伝統的なC参考書と最近出版されたばかりのD参考書に同じことが書いてあったら、「試験に出る可能性が相当高い内容」といえます。それらを重点的に見直せば、効率的に勉強することができます。

【複数冊買おう:その5】「自分に合った参考書」はこう探そう

理想は、本屋で立ち読みして「自分に合った参考書」を見つけ、購入することです。しかし立ち読みしたときの感じと、自宅の机の上で開いて集中して読んだときの感じはかなり違います。自分に合わない参考書を買ってしまうことは、仕方がないこととあきらめたほうがいいでしょう。
仕方がないとあきらめないと、自分に合わない内容なのに無理やりその参考書を使うことになります。それでは楽しい勉強はできず、苦行になってしまいます。

「この参考書は自分に合わない」と感じたら、すぐにまた書店に行きましょう。そのときはもう、「どういう参考書が自分に合うか」が明確になっています。つまり「自分に合わない参考書」に出会うことは、「自分に合う参考書」探しには欠かせない過程なのです。

まとめ~「合わない参考書」を受験仲間と交換してみては

あなたが自分に合わないと感じた参考書でも、受験仲間には合うかもしれません。また、受験仲間が自分に合わないと感じている参考書が、あなたに合うかもしれません。

受験仲間で集まって「合わない参考書」の交換会を開いてはいかがでしょうか。その交換会では、自然と「よい参考書とは論」が展開されるでしょう。参考書に対する考え方が変わるかもしれませんので、機会があれば周りの受験仲間に提案してみてください。

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