大学の学部の選び方とは?失敗しない学部の選び方
「早くに大学を決めれば、その分志望大学・志望学部に合った勉強方法を選びとれる」と言われています。
これは受験を勝ち抜くうえで、非常に重要な要素です。
とはいえ、自分の進路をなかなか決めかねている人も多いのではないでしょうか。
また、「なんとなく文系」「一応理系に進むつもり」と漠然と決まっていても、その細かい内容までについてはまだまだ考えていない人も多いはずです。
ここでは、「大学や学部にはどのようなものがあるのか」という基本についてお話していきます。
大学や学部ってどんな種類があるの?
大学や学部にはどのような種類があり、どのような系統があるのか、その大きな区分について見ていきましょう。
国公立・私立・文科省管轄外大学校をあわせて700校以上!
大学の数は、無数と言って良いほどあります。
大学は大きく分けて、国公立・私立・文科省管轄外大学校に分かれ、その数はあわせて700校以上にものぼります。
大学は専門的な知識をつけていくためにある学び舎なので、そのバリエーションも非常に豊富です。
その背景の一つとして、大学進学率の上昇が挙げられます。
昭和29年時の4年制大学への進学率は、男性で13.3パーセント、女性にいたってはわずか2.4パーセントにすぎませんでした。進学率は7.9パーセントと、8パーセントを切っていたのです。
しかし、平成21年には、男性の進学率が55.9パーセント、女性の進学率が44.2パーセントとなり、50パーセントを越えました。それ以降も多少の増減はあるものの、半数近くの人が大学に進学しています。
出典:武庫川女子大学
http://www.mukogawa-u.ac.jp/~kyoken/data/13.pdf
このような流れと合わさって、大学もより細分化して、より専門性が高く、そしてよりレベルのバリエーションも豊かになっていったのだと推測されます。
大学は、勉強をするために行くところです。
そのため、無数にある選択肢のなかから、自分に合った、自分が学びたいと思うものを選んでいく必要があります。
「何を学びたいのか」ということは基本ですが、もう一つ考慮したいのは「運営している団体」です。
日本の大学は、「国公立」「私立」「文科省管轄外大学校」の3つに大きく分かれます。
それぞれ異なる特徴を持っているので、簡単に見ていきましょう。
【国公立】
名実ともに日本のトップ大学である「東京大学」、関西の雄である「京都大学」などは、国公立大学(以下「国公立」)に分類されています。
運営団体が国や地方自治体になるため、学費が安いというメリットがあります。
この学費が安いというメリットは、特に「医学部」を志望するときに顕著になります。
医学部は非常にお金がかかる学部ですが、国公立の場合は、ほかの学部とほぼ学費がかわりません。
そのため、経済的に余裕のない家庭であっても通うことができるというメリットがあります。
医学部の学費については、国公立と私立大学(以下「私立」)では10倍ほども変わるとされています。
また、国公立は大学内の設備が充実している傾向にあります。
もう少し正確に言うのであれば、運営が国や地方自治体であるため、予算配分も決まっており、どの学部であっても不公平感があまりないとされています。
そのため「どの学部であっても、安定した設備供給が見込める」ということになるでしょう。
【私立】
「私立」は「私大」とも言われます。六大学として名高い「早稲田大学」「慶応義塾大学」などがこの「私立」にあたります。
文字通り、私人が運営している大学であり、国などはその運営にはあたりません。
私立の場合、国公立に比べて校舎や設備、校風の自由度が高いという特徴があります。
キャンパスも美しく、通いやすいところにある傾向があるため、快適で活発な学校生活を楽しむことができます。
サークルが多く、充実しているのも特徴の一つです。
私立の場合、「どこにお金をかけるか」を自由に選ぶことができます。
そのため、自分の目指す学部がお金を掛けている学部であれば、充実した研究ができることでしょう。
また、私立大学の方が、他と比べてサポート体制が充実している可能性が高いとも言われています。
国公立に比べて就職の斡旋が多くあることから、社会人としての活躍を見越して私立を志願する人もいます。
加えて、私立は国公立に比べて選択肢が豊富であるため、より自分の好みや進みたい方向に合った大学を探しやすいという特徴もあります。
ただし、私立の場合は学費が高くなる傾向にあるので注意が必要です。
【文科省管轄外大学校】
大学は、基本的には文部科学省(以下「文科省」)が管轄しています。
しかしそれ以外にも特殊な学校もあります。
それが、「文科省管轄外大学校」です。文科省管轄外大学校は、各省庁などが定めた大学であり、文科省の管轄を受けません。
また、数も決して多くなく、全国で8つしかありません。
まず、防衛省が管轄する「防衛医科大学校」と「防衛大学校」が挙げられます。それぞれ6年制と4年制です。
有名な文科省管轄外大学校なので、名前を聞いたことのある人もいるかもしれません。
それ以外にも、気象庁が管轄する「気象大学校(4年制)」、国土交通省管轄の「航空保安大学校」、独立行政法人国立国際医療研究センター管轄の「国立看護大学校(4年制)」などがあります。
「将来なりたい職業が明確に決まっている」ということであれば、このような文科省管轄外大学校を選んでもよいでしょう。
さまざまな学部も、大きく分けると4通りになる
「学部っていうけど、いっぱいありすぎて何がなんだかわからない!」という人もいるでしょう。
しかし、数多く見える学部は、実は大別すると4通りに分けられるのです。以下で詳しく解説していきます。
自然科学系
「自然科学系」は、「野菜や植物を研究する学科」だけを指すわけではありません。
自然現象を分析し、研究し、それを現在や未来の技術の革新に変化させていく技術を学ぶ系統のことを言います。
農業や動物に関わる農畜産業、そして水産業などはここに分類されます。また、「自然現象」ということで、人間の身体変化に関わる医学部や薬学部、看護学部もここに分類されます。
意外に思われるかもしれませんが、理学部や工学部といった理系もここに分類されます。理学部は自然界を形作る法則について学んだり、自然界にある物質について探求したりするところです。工学部では、電気をはじめとするエネルギー分野について深く学んでいきます。
社会科学系
「社会科学系」とは、人間社会の営みや国家の仕組みを系統だって学び、研究していく分野のことを言います。
これは比較的イメージしやすいでしょう。
現在の国家の根底を支える経済学部や、企業の運営方法を学ぶ商学部や経営学部、法律について研究する法学部などがここに分類されます。
また、社会学や福祉もこちらに含まれるため、地域の福祉学科なども「社会科学系」にカテゴライズされます。
人文科学系
人間は昔から言葉を愛し、本を読むことを愛してきました。
言葉のない生活というのは、コミュニケーションがうまくとれないことと同じです。
「引き継がれる文化」は、そのまま、人間を人間たらしめる要素となります。
このような時代ですから、海外の言葉を学び、さまざまな交渉ごとを円滑に進めていく能力も求められます。
そのような「文化」を学ぶのが、「人文科学系」と言われる学問です。
「文学部」は最たる例です。また、外国語を学ぶ学部もこちらに分類されます。外国語というと多くの人が「英語」を連想するかと思いますが、実際にはアジアの言語を学んだり、国際関係について勉強していくことを中心としていたりする学部もあります。
学際系学部・文理融合系学部
学際系と文理融合系学部の2つは、前に挙げた3つと比べると、非常に新しい学部です。
どちらにも言える最大の特徴は、「複数の分野にまたがった、学問と学問の境界線にあるところを勉強する」といったスタイルと目的をとっていることです。
学際系は、自然科学・社会科学・人文科学の枠組みにとらわれず、広い視野を身につけることを目指しています。
たとえば、農業改革と流通改革を組み合わせて、より新鮮に効率よく食べ物を開発し、消費者に届けることを勉強する人もいるでしょうし、食の安全について研究していく人もいます。
また、「文系と理系はまったく正反対のもの」という価値観を打ち砕くのが文理融合系大学です。
さまざまな学問を組み合わせて勉強をしていくものであり、情報メディア関係に携わる研究などを行います。
ちなみに、哲学や化学といった、一見するとまったく関係のなさそうに見える分野を学んでいくというスタイルをとることもあります。
大学の学部の選び方
ここからは実践編です。
このように選択肢が豊富な大学のなかで、自分に合ったものを選ぶときにはどのようにすればよいのでしょうか。
大きく分けて、以下の5つの方法があります。
- ・なりたい職業を目指せるか
- ・興味のある分野が学べるか
- ・理想の大学生活が送れるか
- ・就職サポートが十分か
- ・学費がどれ位かかるか
それぞれ詳しく説明します。
なりたい職業を目指せるか
大学の学部を選ぶ際に、まず考えるべきなのが「なりたい職業を目指せるか」です。
目指している職業があるのであれば、それにつながる学部を選ぶのが間違いありません。
たとえば、医師になりたいのであれば、医学部に入って勉強する必要があります。弁護士になりたいと考えるのであれば、法学部に入った方がよいでしょう。
他の学部に入ったとして、学士編入制度などを使って医学部で学び直すことは可能です。また、弁護士も学歴を問わない職業なので、これらの学部に入っていなくても、その職業に就くこと事態は可能です。
ただし、とても時間がかかりますし、非常に狭き門です。
そのため、就きたい職業があるのであれば、それにつながる学部を選ぶのが鉄則です。
興味のある分野が学べるか
自分の興味がある分野から選ぶのも一つの手です。
「たとえ将来的に就職が難しくなったとしても、自分が好きなことを一生懸命勉強した結果ならば、それで良い」と考える人もいるほど、「興味のある分野から学部を選ぶ」という選択肢は強いものです。
歴史が好きならばそれに準じた学部を、化学が好きならそれに準じた学部を、と考えて選択肢を狭めていきましょう。
それでも決められない場合は、幅広い学問を学べる大学を選ぶのも良いでしょう。
理想の大学生活が送れるか
大学の学部を選ぶ際には、理想の大学生活が送れるかもチェックしましょう。
学部によって人数や雰囲気、忙しさなどが異なります。
真面目な環境で研究や勉強に打ち込みたいのか、勉強もしつつサークルやゼミ活動も楽しみたいのかによって、選ぶべき学部は変わります。
どのような大学生活を送りたいのかを考えた上で、それに合う学部を選ぶと良いでしょう。
就職サポートが十分か
学部選びにおいては、就職サポートについても確認しておくべきです。
大学によって、就職サポートの充実度は大きく差があります。エントリーシートの添削や面接対策が充実していたり、説明会やインターンシップを豊富に用意していたりする大学もあれば、サポートがほとんどないところもあります。
なりたい将来像を目指すためにも、就職サポートの充実度はチェック必須です。就職実績も見ておくと良いでしょう。
学費がどれ位かかるか
学部を決める上で、親御さんと学費についても相談する必要があります。
国公立大学か私立か文科省管轄外大学校か、大学の種類によって学費は大きく異なりますが、学部によっても必要とされる費用が変わってきます。
志望大学に奨学金制度があるかについても確認しておくと、選択肢の幅が広がるのでおすすめです。
絶対にNG!大学や学部の選び方
ここまでは大学の学部の選び方について解説してきました。ここからは、絶対にしてはいけない大学や学部の選び方について解説していきます。
大学や学部を選ぶ際、以下のように決めるのは避けましょう。
- 人の意見だけ決める
- 知名度だけで決める
- 将来を見据えずに決める
順番に説明していきます。
人の意見だけ決める
親や先生など、人の意見だけで大学や学部を決めるのは絶対にやめましょう。
自身の将来に関わることは、自分の意志も含めて決めるべきです。どのような分野に興味があり、どのような将来像を描いているのかを明確にした上で、自身の納得する大学を目指しましょう。
また、
知名度だけで決める
「よく聞く大学だから」「有名な〇〇さんが卒業してるから」など、知名度だけで大学や学部を決めることは避けましょう。
具体的に何が学べるのか、どういった職業を目指せるのかが分からないまま大学や学部を選ぶのはリスクしかありません。
はじめは知名度で興味を持っても良いですが、その後は必ず大学や学部の詳細について調べ、自身の描く将来像にマッチするかを確認しましょう。
将来を見据えずに決める
将来を見据えず、「楽しそうだから」「倍率が低いから」といったような理由で大学や学部を選ぶことはおすすめしません。
就きたい職業がある場合、その仕事に求められる資格などを確認した上で、大学在学中にその条件を満たせるところを選んだ方が良いです。
卒業後に資格取得を目指したり、在学中に別の学部で勉強したりする方法もありますが、あまりに非効率的です。場合によっては、特定の大学及び学部の卒業が求められる職業もあるので注意しましょう。
志望校を決める決め手となるものは?
ある程度志望校を絞り込むことができら、オープンキャンパスや学園祭に足を運んでみましょう。
文字でその学校の特徴を知ることと、実際の空気に触れてみることには、大きな違いがあります。
オープンキャンパスは、学校側がキャンパスに志望者を招き入れるイベントです。キャンパスツアーや説明会、体験授業などを行います。
オープンキャンパスは8月、夏の時期に行われることが多いです。高校3年生の夏に行ってもいいのですが、受験の天王山でもある時期です。早めに志望校を決めることができた方は、2年生のうちに行っておくと良いでしょう。
大学の文化祭は広く開放されるので、文化祭の時期に行ってみたい大学の雰囲気を見にいくのも良いでしょう。実際に建物を見て、楽しく過ごす先輩たちの姿を見ることは、「この大学に進みたい」という強い動機付けになるはずです。
進路が決まったら
大学や学部を選び、オープンキャンパスに足を運び、行きたい大学が決まったら、後は合格に向けて勉強をしていくだけです。
志望大学の出題傾向を赤本などで調べて、勉強に取り組んでいきましょう。
「どうしても受験したいところがあるが、苦手科目が必須科目としてある」という場合は、苦手科目の克服にいそしみましょう。
早く進路を決めることができれば、それだけ、「苦手科目の克服」に割ける時間が多くなります。
場合によっては、予備校や塾、通信教育や家庭教師を利用するのも一つの手です。以下のページで、おすすめの塾、予備校を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。