東大工学部都市工学で学べることとは?2つのコースについても詳しく紹介
東大工学部都市工学科ではどんなことを学べるのでしょうか?この記事では、東京大学の都市工学科の概要や2つのコース、卒業後の進路、入試情報などについてご紹介します。
東大工学部都市工学科とは?
まず「都市工学」の基礎知識や、東大工学部都市工学科についてご紹介します。
「都市工学」とは?
「都市工学」とは、都市問題や環境問題の背景となる社会の構造を全体的に把握し、それらの問題に対処できる工学的技術や実践的方策について研究する学問です。
東京大学都市工学科で行われている教育・研究
東京大学の都市工学科では、工学技術をベースとしながら社会科学や人文科学とも密接な関係を保っています。また国土全体の都市問題や地域問題や地球レベルの環境問題に取り組む形で教育や研究が行われているのが特徴です。
東大工学部都市工学科には2つのコースがある
東大工学部都市工学科には、2つのコースがあります。
1.都市計画コース
都市計画の専門家を養成するコースです。異なる規模の都市地域を対象とする調査、分析、計画立案を行い、行政、企業、市民などと協働しながら人々が暮らしやすい都市を設計・実現する能力を持つ専門家を養成します。
2.都市環境工学コース
都市環境の専門家を養成するコースです。都市の環境を左右する要因を正しく認識する専門知識をもとに、環境の改善を図りながら都市のシステムおよび施設を作る計画や設計、評価を正しく行う能力を持つ専門家を養成します。
東大工学部都市工学科の4年間
2つのコースを持つ東大工学部都市工学科では、以下の流れで4年間の学生生活を送ることになります。
・1~2年次夏学期
教養学部前期課程(駒場キャンパス)で、一般教養科目を履修します。
・2年冬学期
必修科目や演習、実験が中心となる都市工学科の基礎的な履修科目がカリキュラムに入ってきます(演習の授業は、週約2回午後の時間に組み込まれます)。
・3年夏学期~4年夏学期
工学部(本郷キャンパス)で演習・実験を中心に都市工学科の履修科目を学びますが、その内容は2年冬学期より専門的です。ここまでに履修した内容をもとに卒業研究のテーマを決めます。
・4年冬学期 卒業研究
大学4年間の総仕上げとして、各自で選んだテーマの卒業研究を行います。4年間で必要な単位をすべて取得すると学部卒業となります。
参考:東京大学工学部都市工学科
東大工学部都市工学科の「都市計画コース」について
次は、都市工学科の「都市計画コース」の研究室について見ていきましょう。
都市計画研究室
生活空間の形成と維持管理を通して、災害など都市や地域が抱える課題に取り組んでいます。
都市デザイン研究室
都市空間の意図を正しく読み解きながら、魅力ある都市づくりやその維持を目指す研究や実践に取り組んでいます。
住宅・都市解析研究室
「都市居住」と「都市解析」を柱に、都市計画全体を俯瞰しながら幅広い研究を行っています。
都市情報・安全システム研究室
生産技術研究所や加藤研究室と連携し、社会調査、数理的手法、合意形成・情報技術などの手法で都市のリスクを見つけ出すなど、安全・安心な都市作りを目指す研究を行っています。
国際都市計画・地域計画研究室
都市計画制度の実証分析や発展途上国の都市化に関する研究、環境問題や人口減少問題など、さまざまな角度から都市に関する研究を行っています。
都市交通研究室
都市の交通について研究しています。それを通して時代のニーズに合わせる形で人々の生活を支える都市と交通の実現を目指します。
まちづくり研究室
多角度からまちづくりの基礎となるデザイン、プランニング、マネジメントの方法論や手法、基礎理論を探求し、コミュニティーや街の再生などの実践研究を行います。
環境デザイン研究室
時代の変化に合わせて従来型の都市計画(「図」を書くことに専念する都市計画)を見直し、「みどり」や「環境」を切り口とする新たな都市計画(「地」のデザイン)を考える研究室です。
空間デザイン研究室 *学部のみ
公共空間のデザイン・マネジメントやスマートシティのデザイン、空間デザインに関わる研究を中心に行っており、サスティナブルな都市作りへの貢献を目指します。
地域デザイン研究室
地域の地形や歴史を読み解き、その地域が抱える突発性・進行性のリスクへの対処を念頭に置きながら、実践と論理の有益な研究を生み出して地域に還元することを目指します。
加藤孝明研究室
「生産技術研究所」に所属する研究室です。地域安全システム学を専門領域として、防災・減災、復興、地域安全などの研究や外部組織との連携による産官学の共同研究や共同活動を行っています。
※参考:東京大学工学部都市工学科
都市工学科の「都市環境工学コース」について
都市環境工学コースの研究室についてもチェックしておきましょう。
都市水システム研究室
水処理技術の開発や都市水システムの脆弱性評価など、都市に安心・安全な水を持続的かつ安定的に供給するための研究を行っています。
地域循環共生システム研究室
環境の観点から都市の仕組みを考え、人と環境が共生可能な都市を社会に実装するための研究を行っています。
都市衛生工学研究室
環境工学の観点から都市の微生物学的安全性を確立するための研究を行っています。
水環境制御研究室
水利用や水環境、雨水管理を総合的にとらえ、多角的な視点から都市水環境の制御に関する研究を行っています。
環境質リスク管理研究室
人の活動による環境(水質・大気質・土壌質)の劣化で生じるリスクを正しく評価し、それらのリスクを低減・管理する研究や技術開発を行っています。
都市サステイナビリティ学研究室
個人単位から地球単位までのスケールで都市のサステイナビリティに関する研究を行い、自然と共生する社会の構築やその持続による人間の福利向上を目指します。
社会生態システム(旧・環境微生物機能)研究室 (学部のみ)
「新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻(柏キャンパス)」にある研究室。微生物を用いた下水処理の最適化や、サステイナビリティ、環境浄化に関わる微生物の研究など、その内容は多彩です。
※参考:東京大学工学部都市工学科
都市工学科の学生は、4年のゴールデンウィーク時期に研究室を選び、それぞれの専門領域を究めていきます。
都市工学科学部卒業生の進路
卒業生の進路についてもご紹介します。
大学院博士前期課程への進学率は6~7割
都市工学科の卒業生は6~7割が大学院博士前期課程に進学しますが、その8~9割が都市工学専攻に進学します。
卒業生の主な就職先
卒業生(学部・大学院)の主な就職先も紹介します。
・官庁・自治体等
国土交通省、経済産業省、環境省、東京都、埼玉県、愛知県、横浜市
・政府関係機関
都市再生機構、国際協力機構
・建設・不動産
大成建設、三井不動産、三菱地所、東急不動産、森トラスト
・運輸
東日本旅客鉄道、全日本空輸
・商社・金融・保険
住友商事、三菱商事、東京海上日動、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行
・その他
電通、博報堂、日本工営
引用・参考:東京大学工学部
東大工学部都市工学科の受験情報
最後に、東大工学部都市工学科の2022年(令和4年)度受験情報をお伝えします。
難易度および配点比率
●共通テスト得点率(理科1・2類):89%
●偏差値:67.5%
●個別テスト配点比率:80%
受験科目
・共通テスト(理科1・2類)
国語
数学:数IAおよび「数IIB・簿記・情報」から1科目
理科:物理・化学・生物・地学から2科目
※基礎科目の選択不可
外国語:英語・独語・仏語・中国語・韓国語から1科目(リスニングを含む)
地歴・公民:世界史B・日本史B・地理B・倫理・政経から1科目
・個別試験(理科1・2類)
国語:国語総合・国語表現
数学:数I・数A(場合の数と確率・図形の性質・整数の性質)数Ⅱ・数B(数列・ベクトル)・数Ⅲ
理科:「物理基礎・物理」・「化学基礎・化学」・「生物基礎・生物」・「地学基礎・地学」から2科目
外国語:「コミュニケーション英語Ⅰ・コミュニケーション英語Ⅱ・コミュニケーション英語Ⅲ」または独語・仏語・中国語(リスニングを含む)
共通テスト、個別試験ともに受験科目が多数あります。その点に留意しながら計画的に受験勉強を進めましょう。
まちづくりの専門家になりたい人は東大工学部都市工学科を目指そう
東京大学工学部都市工学科は、都市計画の専門家を養成する教育・研究機関としては日本最高レベルです。ハイレベルなまちづくりの専門家を目指したい人は、ぜひ東大の都市工学科の受験をご検討ください。