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東大薬学部が世界をリードする創薬科学研究とは?共テボーダーや偏差値も紹介

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東大薬学部は、1873年(明治6年)開校の第一大学区医学校予科製薬学科から始まり、東大医学部薬学科を経て薬学部として独立した伝統の学部です。そんな東大薬学部が創薬科学分野で世界をリードする存在なことをご存じでしょうか?

この記事では、その点にスポットを当てながら東大薬学部について解説しつつ、偏差値などの受験情報もお伝えします。

東大薬学部は創薬科学研分野で世界をリードする研究機関

一般的に、薬学部は「薬剤師になるための学部」という認識が強いかもしれません。しかし、東大薬学部は、本来創薬科学研究に特化してきた学部です。そのことを知らないと、入学後に後悔する恐れがあるため、まず東大薬学部のメインとなる創薬科学研究について押さえておきましょう。

「創薬科学研究」とは?

創薬科学研究は、「薬(医薬品)を創り出すための研究」です。薬は、病気などで異常が生じた体の機能を自らの力で正常に戻すことを助ける化学物質。しかし、それを創り出すためには生命の仕組みを知り、病気など機能異常の原因を明らかにすることが必要です。

高度な研究を通して、体の機能改善に役立つ新たな薬を創り出すことを目指します。そのため創薬科学の研究者は以下のような高度な専門知識が必要です。

・生化学
・分子生物学
・生理化学
・発生学
・遺伝学
・免疫学など

また、世界の研究者たちと切磋琢磨しながら研究を行えるレベルの高度な外国語力も求められます。東大薬学部は、その条件を満たす優秀な創薬科学分野のエキスパートを養成する教育機関といえるでしょう。

東大薬学部は創薬科学研究で世界のリーダー的な存在である

東大薬学部は、東大の中で最も人数が少ない学部です(2021年5月1日)。しかし、その内容(発表学術論文数や教育体制など)は傑出しており、薬学の知識を必要とする分野に多くの優れた人材を送り出しています。世界的に見ても、創薬科学研究分野に特化した研究を行う学部はありません。

そんな中、東大薬学部は伝統的に世界の創薬科学研究をけん引してきました。東大薬学部は、この分野で世界のリーダー的な存在となっており、卒業生の多くは国内外の大学や研究機関、企業などでオピニオンリーダーとして活躍しています。

東大薬学部には4年制の「薬科学科」と6年制の「薬学科」がある

東大薬学部には、「薬科学科」「薬学科」の2つの学科があります。

薬科学科

4年制の薬学研究科は、創薬科学および基礎生命科学分野で活躍する人材を養成する学科です。卒業後は、多くの学生が大学院(博士課程前期・後期)に進学し、修了後はそこで習得した専門知識を生かせる研究機関や企業などへの就職を目指します。

薬学科

6年制の薬学科は、薬学の高度な知識を有する薬剤師を養成する学科です。薬剤師を目指す場合はこちらに進学する必要があります。薬学科は、薬剤師国家試験の新卒合格率が非常に高いことでも有名です。

薬学科が薬科学科と異なる点は2つあります。

・学部卒業までに6年かかる
・在学中に6ヵ月の実務実習期間がある

実務実習は、提携する東大付属病院および薬局で行います。なお、東大薬学部では薬科学科の定員が全体の約9割です。一方、薬学科の定員は約1割となっており、ある意味非常に狭き門といえるでしょう。

東大薬学部の学生が入学から卒業までに学ぶこと

薬学部志望の学生は、3年生から薬学部に所属し、4年生から上記2学科に分かれることをふまえながら、薬学部の学生が入学から卒業までに学ぶことを知っておきましょう。

1年生は全員2年生まで教養学部前期課程に所属

東大に合格した1年生は、教養学部前期課程(文科1~3類、理科1~3類のいずれか)に入学します。薬学部進学希望者の多くは、理科1・2類に合格・入学した学生です。1年生では、自分が薬学部と関連性が高い科目や、外国語などの一般教養科目を幅広く履修します。

2年生からカリキュラムに薬学部の必修科目が登場

2年生の後半になると、薬学部の卒業に必要な単位を取得するための科目(講義・実習)が登場。また、3年生以降に所属する学部の選択も2年生の後半に行います。

東大では、1年間の授業期間を前後半で2つセメスター(前半S・後半A)に分け、各セメスターをさらに2つのターム(前半S1・S2、後半A1・A2)に分ける4学期制です。2年生で履修する薬学部の必修・選択科目は、以下のようになっています。

A1ターム

分析化学Ⅰ、分子生物学、細胞生物学、放射化学、有機化学Ⅰ・Ⅱ、物理化学Ⅰ・Ⅱ、機能形態学、薬学概論、生物統計学

A2ターム

有機化学Ⅲ・Ⅳ、分析化学Ⅱ、物理化学Ⅲ 薬理学Ⅰ、機能生物学、病理学、薬物動態制御学、微生物学・化学療法学、創薬科学、発生遺伝学

学生は、以上の必修・選択科目から単位取得が必要なものを選んで履修します。

3年生で薬学部所属に

3年生からは薬学部所属となり、進学したい学科に応じてタームごとの必修科目や選択科目を履修します。

S1ター

薬理学Ⅱ、薬学実習Ⅰ・Ⅱ、衛生化学、臨床病理学、インタラクティブ有機化学、免疫学

S2ターム

有機化学Ⅴ・Ⅵ、薬学実習Ⅲ、医薬品情報学、がん細胞生物学・バイオ医薬品、構造分子薬学、医薬品情報学

 

A1ターム

医療薬学、薬学実務実習Ⅰ、薬学実習Ⅳ、 医薬化学Ⅰ・Ⅱ、疾患代謝学、薬学特別講義(前半)、分子生理化学

A2

薬学実習Ⅴ、医薬化学Ⅲ、天然物化学、製剤設計学、医薬品安全性学、薬学特別講義(後半)、生物物理学

3年生の後半では、ここまで学んだことをもとに4年生から所属する学科の選択を行います。

4年生で薬科学科と薬学科に分かれる

4年生では、薬科学科と薬学科に分かれます。その必修・選択科目および学生が所属する研究室は、以下の通りです。

・必修・選択科目
<薬科学科>
薬学卒業実習(全ターム)
<薬学科>
4年生S1ターム:公衆衛生学、薬事法・特許法、医薬品評価化学
4~6年生:薬学実習Ⅳ、薬学実務実習Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ、薬学卒業実習
<2学科共通>
医薬品・医療ビジネス

・研究室

薬化学、天然物合成化学、有機合成化学、天然物化学、薬用植物化学。基礎有機化学、薬品代謝化学、生体分析化学、生命物理化学、蛋白構造生物学、衛生化学、生理化学、分子生物学、発生病態学、遺伝学、蛋白質代謝学、細胞分子化学、核酸制御学、免疫・微生物学、応用免疫学、分子薬物動態学、臨床薬物動態学、薬品作用学、機能病態学、育薬学、医薬品評価科学、医薬政策学、ヒト細胞創薬学、脳神経疾患治療学、化学物質安全性評価システム構築、ITヘルスケア、蛍光医療化学、タンパク質分解創薬

薬科学科は、4年で必要な単位をすべて取得すれば卒業です。一方、薬学科は4~6年の3年間で卒業に必要な単位の取得と薬剤師国家試験対策を目指します。

学部卒業後は8割以上が大学院に進学

薬学部卒業後は、8割以上が大学院に進学して、さらに高度な薬の専門知識を身に付けます。修了後は、薬に関する研究機関や企業などに就職する傾向です。卒業生の多くは、国内外で薬のエキスパートとして活躍しています。

東大薬学部の入試情報・共テボーダーラインと2次試験の偏差値は?

最後に、東大薬学部を目指す人が受験する東大理科1・2類の受験情報についてお伝えします。

入試科目

東大理科1・2類の入試科目は、以下の通りです。

共通テスト

2次(個別学力)試験

●国語

●数学(数Ⅰ必修、数ⅡB・簿記・情報より1科目)

●理科(物理、化学、生物、地学より2科目)

●外国語(英・独・仏・中・韓より1言語)

●地歴公民(世界史B・日本史B・地理Bより1科目、倫理・政経より1科目)

●国語:国語総合・国語表現

●数学:数1・数A(場合の数と確率・図形の性質・整数の性質)数Ⅱ数B(数列・ベクトル)数Ⅲ

●理科:「物理基礎」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」「地学基礎・地学」より2科目

●外国語:コミュ英語Ⅰ・コミュ英語Ⅱ・コミュ英語Ⅲ(リスニング含む)※独・仏・中の各言語も選択可

共通テストの試験科目は、5教科7科目、2次試験でも4教科の試験を受けるため、広範囲にわたる受験対策が必要です。

入試難易度

一方、入試難易度は理科1・2類ともに全く同じです。

・共通テストボーダー:理科1類89%、理科2類89%(801/900)
・2次試験偏差値:理科1・2類ともに67.5

合格へのハードルは、非常に高いため、東大薬学部の受験対策はかなり早い時期から始める必要があります。また、試験範囲が広いため、時間をかけてコツコツと勉強することも必要です。

世界トップの創薬科学研究に携わりたい人は東大薬学部を目指そう

最先端の創薬科学研究で世界トップレベルの東大薬学部。「創薬科学研究に携わりたい」と感じている人は、ぜひ東大薬学部を目指してみてはいかがでしょうか。われこそはと思う受験生はぜひ思い切って挑戦してみましょう。

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