京大医学部の学科の特徴とは?医学科と人間健康科学科を比較してみた
京都大学(以下、京大)医学部には、医学科と人間健康科学科の2つの学科が設置されています。医学科は、医師や医学研究に役立つ人材の育成が目的なのに対して、人間健康科学科は看護師や作業療法士、臨床検査技師などの医療従事者の養成をする学科です。本記事では、約120年の歴史を持つ京大医学部における2つの学科の違いについて、特徴やカリキュラムなどの違いをまとめて紹介します。
京大医学部には2種類の学科がある
「医学部=医師になるための学部」といったイメージが強いかもしれません。しかし、京大医学部の場合は学科によって医師や医学研究者を養成する医学科と看護師などを養成する人間健康科学科の2種類に分かれているのが特徴です。入学する学科によって、取得できる医療系の資格が異なるため、どちらの学科で学びたいか受験するときに決めておかなければいけません。
また、学科によって将来、医療系の進路が分かれるのに加えて、カリキュラムの年数にも違いがあります。医学科は、卒業まで最短で6年間ですが人間健康科学科は4年間です。
医学科の特徴とカリキュラムのポイント
医学科は、日本や世界をリードする医師や医学研究者の養成を目指しています。人文科学や社会科学、自然科学、外国語などの基礎教養科目をはじめ、次のような医学全般のカリキュラムを6年間にわたって学ぶのがポイントです。
・基礎医学:生命科学、解剖学、生理学、病理学など
・社会医学:疫学、公衆衛生、環境、医療統計など
・臨床医学:内科学、外科学、小児科学、産婦人科学、精神医学、救急医学など
医学科では、5~6年次にかけて、病院の医療現場で行う臨床実習があるため、さまざまな診療科を回りながら、指導医のもと実際に臨床について学べます。京大医学部医学科では、世界に誇る分子治療や再生医療、移植治療などの先端医療の臨床も体験できることがメリットです。
人間健康科学科の特徴とカリキュラムのポイント
人間健康科学科は、看護師など医師以外の医療従事者を養成しています。学科内は、次の3つのコースに分かれています。
・先端看護科学コース
・総合医療科学コース
・先端リハビリテーション科学コース
1.先端看護科学コース
看護師を養成するコースです。看護の仕事で必要な医学や看護学などを幅広く学びます。看護師国家試験に合格した卒業生の約7割は看護職として京大病院をはじめ地域の医療機関に就職します。
2.総合医療科学コース
卒業後、臨床検査技師の国家試験の受験資格が与えられます。ただし、このコースでは入学時から大学院の修士課程進学を見据えたカリキュラムで教育が行われていることが特徴です。人体を含めた生命の基本原理の解明を目指す基礎医学をはじめ、移植医療や再生医療、遺伝子治療などを研究する臨床医科学、医療画像や医療機器の技術を扱う理工系医療科学といった分野に分かれています。
3.先端リハビリテーション科学コース
卒業すると、コース内の講座によってリハビリの専門家である理学療法士または作業療法士の国家試験受験資格が与えられます。カリキュラムを通して、リハビリテーション科学や理学療法学を学び、3年次からは医療現場での臨床実習が始まります。
このように人間健康科学科は、看護師や理学療法士、作業療法士、臨床検査技師を送り出すとともに、大学院での高度な研究を見据えたカリキュラムになっていることも大きな魅力です。
まとめ
京都大学医学部には、医学科と人間健康科学科で次のような違いや特徴がありました。
・医学科は6年間で医師や医学研究者を養成する
・人間健康科学科は4年間で看護師や作業療法士、臨床検査技師を養成する
・どちらの学科でも京大付属病院をはじめ病院での臨床実習がある
・医療機関への就職はもちろん大学院への進学も多い
将来目指す職業によって、同じ京大医学部でも学科による違いがあることに注意しましょう。