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上智大学のSDGsとは?学生職員の取り組みで学内外の問題を解決

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上智大学では、SDGsの取り組みや課題解決を行う際に、学生が学生職員として働いている点が大きな特徴です。SDGsは、大学生が学びを深めるためにも役立っています。本記事では、上智大学のサステナビリティ推進本部の概要や活動内容、上智大学の学生がSDGsに取り組む際に大切にしているポイントについてご紹介します。

SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、国連が2015年に採択した持続可能な開発目標のことです。

これは、2030年までに達成すべき17の目標と169の具体的なターゲットから構成されています。

SDGsは、貧困や飢餓の撲滅、教育の普及、ジェンダー平等、クリーンエネルギーの推進など、社会的・経済的な課題や環境問題に取り組むためのグローバルな枠組みです。

各目標は、地球規模での持続可能な発展を促進するために、経済、社会、環境の3つの次元をバランスよく組み合わせています。

SDGsは、政府、企業、市民社会、国際機関など、さまざまなステークホルダーが連携し、持続可能な未来を実現するための共同の取り組みを推進するための指針として採用されています。

このグローバルな枠組みは、持続可能な開発のための包括的なアプローチを提供し、社会的、経済的、環境的な目標の達成に向けた取り組みを加速させることを目指しています。

上智大学のサステナビリティ推進本部について

上智大学は、SDGsの観点でさまざまな取り組みを行っており、2021年7月には短大や中学校、高校など、上智学院の設置校全体と連携して「サステナビリティ推進本部」を設置しました。大学における社会的責任とは、高度な教育・研究を行い、社会に貢献できる学生を育てるだけではありません。

上智大学のサステナビリティ推進本部は、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを統括する組織です。

本部は、学内の持続可能な開発に関する戦略の策定や推進を担当し、SDGsの達成や地球環境の保護、社会的責任の実現を目指しています。

具体的な活動としては、教育プログラムの充実や研究の推進、エネルギーの効率化や廃棄物の削減、地域との連携や国際的なネットワーク構築などが挙げられます。

本部は、学内の関係部署や学生、教職員と協力し、持続可能な未来の実現に向けた総合的な取り組みを推進しています。

例えば、地域や国際社会と連携・交流して課題に取り組む以下のようなことも大学の社会的責任に含まれています。

SGDsは自分たちにできることの実施が重要:イエズス会創立者ザビエルの思いは「サステナビリティーそのもの」

SDGsは、2015年8月に行われた国連サミットで採択された内容で「地球上の誰一人取り残さない」ことを目標に、国際社会の全体が力を合わせて取り組むことが求められています。一方、上智大学の建学の精神は、カトリック・イエズス会の思いです。フランシスコ・ザビエルが、キリスト教を布教する際に、「人々の生活をよりよくしたい」という想いがありました。

カトリックの教えだけではなく、農業など人々の暮らしに役立つヨーロッパの知識も伝えたとされています。ザビエルの思いとは、サステナビリティの考え方そのものといえるでしょう。

上智大生のSDGsへの認識と取り組み内容:アンケートについて紹介

上智大学では、上智学院サステナビリティ推進本部を中心に、SDGsに取り組んでいます。ここでは、2022年にまとめられた『上智大生のSDGs&サステナビリティに関する意識調査』報告書についてご紹介します。

アンケートに回答した上智大生は、もともとSDGsを知っていたわけではなく、高校の授業や大学の講義などで知ったケースが多く見られました。一方、就職を希望する企業を選ぶ際には、過半数をこえる学生が「SDGsやサステナビリティの取り組みを意識する」と回答しているため、大学時代で意識が高まった様子がうかがえます。

上智大生の目から見て、「大学や高校などが積極的に取り組んだほうがいい」と考えられるSDGsやサステナビリティに関する活動を問う質問では、「プラスチックゼロ運動」「ジェンダー平等に関する活動」など、アンケートの回答者の約7割から具体的な意見が出ました。

上智大学では学生職員を導入:業務にはアルバイト代も支払われる

上智大学では、SDGsを講義で扱うだけでなく、実際に活動できる場所として「サステナビリティ推進本部」を設置しています。これは、学校の運営側だけが対応しているのではなく、学生も「学生職員」として参画しているのが特徴です。

学生職員は、通常大学生として授業があります。そのため、活動できるのは授業の空き時間で週2~3日の6コマ程度です。完全なボランティアではなく学生「職員」のため、活動についてはアルバイト代が支払われています。その点で、学生職員はゼミやサークルとは異なる活動といえるでしょう。

また、学生職員がいることで、SDGsの取り組みに学生の意見が反映できるため、学生職員にとっても「自分のいる大学をよりよくしたい」という責任をもって活動する機会となります。

上智大学の学生職員の活動内容

学生職員は、大学生の目線と発想力・創造力を活かして「キャンパス改善」「企画実施」「情報発信」という3つの分野で活動を行っています。ここでは、サステナビリティ推進本部の具体的な活動内容についてご紹介します。

キャンパス改善

キャンパス改善チームは、学生はもちろん上智大学に訪れる全ての人が安心で快適に過ごせるキャンパス作りに取り組んでいます。

【活動例】
・現状課題把握のための調査
・案内サインのユニバーサルデザイン化
・環境負荷低減への取り組み
・SDGsの普及・啓発活動
出典:上智大学

環境負荷軽減への取り組みの一つが、ウォーターサーバーの設置です。上智大学の四谷キャンパスには、2022年7月時点でウォーターサーバーが10台設置してあります。ウォーターサーバーは、「ペットボトルの消費量を減らす」というSDGsの観点から設置されたもので、1日に約4,000人が利用しており、ごみの削減につながりました。

さらに、学食やキャンパス内で販売を行うキッチンカーでのマイボトル・マイ容器利用推進などにも取り組んでいます。

企画実施の具体例

企画実施チームでは、サステナビリティの推進に関わるイベントを企画・展開しています。

【活動例】
・SDGsの考え方・理念についての理解を深める研修会の実施
・企業・団体との協働企画開催
・自治体との連携による地域連携企画開催
出典:上智大学

企業・団体との協働企画として、株式会社セブン&アイ・ホールディングスとの協同事例があります。株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、食品ロス削減につながる取り組みとして「賢者のレシピ」というレシピの展開を行っています。食材を無駄なく使用するレシピを展開することで、「食材を育てる人」「調理する人」「食べる人」、それぞれが幸せになることを目指しているのです。

「賢者のレシピ」では、上智大学の学生約30名が意見を出し「賢者のレシピ-叡智の朝ごはん編」として健康的な朝食レシピを企画しました。サステナビリティの推進は、学内に限らず産官学や地域との連携が切り口になるともいえるでしょう。

学内外への情報発信

情報発信チームでは、キャンパス改善チームや企画実施チームなどが行う取り組みを学内外に発信しています。

【活動例】
・広報物(SDGsレポート)の作成
・サステナビリティ推進の情報を集約したWebサイトの開発・更新
・公式SNSの開設・運営
・社会課題解決を目指した学生団体への取材、活動内容の発信
出典・上智大学

情報発信として、上智大学のWebサイトだけでなくSNSも活用し、前述の株式会社セブン&アイ・ホールディングスと協働で行われたプロジェクトの裏レシピを紹介しています。また、「非常食の購入が途上国の支援につながる」というパン・アキモトの「救缶鳥プロジェクト」に関するインタビューなどを発信していることも特徴です。

積極的にサステナビリティ推進に関わる内容や成果を取りまとめて発信することが、SDGsの活動としても役立っています。

上智大学の学生職員に大切なこと

上智大学は、SDGsの取り組みを積極的に行っていますが、「サステナビリティ推進本部」の活動では学生職員の活躍が欠かせないことが理解できたのではないでしょうか。ここでは、学生職員を務める際に重要な3つのポイントをご紹介します。

主体性・対話性・協働性

学生職員には、まずコミュニケーション能力が欠かせません。また、自らが中心になって動きつつ、相手との対話を大切に協働する姿勢も重要です。学生職員に求められるポイントは、上智大学のアドミッションポリシーにも重なる内容となっています。

・他者や社会に奉仕するなかで自己の人格を練り上げる
・他者のために、他者とともに生きる精神を養う
・社会から受ける恩恵を自覚して責任感を抱く
・リーダーシップに必要な基礎能力を培う

思考力・判断力・表現力

柔軟な発想や創造力も重要です。進路を決める時点で希望する大学・大学院が「SDGsやサステナビリティ」に注力しているかは、あまり重視されません。しかし、大学で学ぶなかで世界的な規模で解決すべき問題に関心を抱き、判断したことを複数の言語で表現できるかどうかは、上智大学の学生として大切にしたい部分です。

知識・教養・技能

さまざまな課題やお互いがもつ考えの違いを理解して改善案を出していくには、前提として幅広い教養や専門分野の知識・能力が欠かせません。社会人としての基礎能力を身につけ、学生として専攻する学問分野の知識・能力を高めることは、将来社会に出るためにも大きく役立ちます。

上智大学の教育面でのSDGsへの取り組み

上智大学が、教育面でどのようにSDGsに取り組んでいるのかを紹介します。

SDGsを組み込んだ専門科目の開講

上智大学では、各学部・学科においてSDGsをテーマにした専門科目を開講しています。

例えば、国際関係学部では「SDGsと国際協力」や「グローバル貧困とSDGs」などの科目があり、学生はSDGsの背景や具体的な取り組みについて学ぶことができます。

融合教育の推進

上智大学では、異なる学部・学科の学生が共通のテーマで学ぶ融合教育も行われています。SDGsをテーマにした融合教育では、学生がグループで課題に取り組み、解決策を提案することで、協働力や持続可能な開発に向けた思考力を養います。

国際的なネットワークの構築

世界各国の大学との提携関係を築いており、留学プログラムや国際共同研究などを通じて、グローバルな学生交流と協力を促進しています。

SDGsの取り組みも異文化や国際的な視点から学ぶことができ、より持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められています。

学生団体の活動支援

上智大学では、学生が主体的にSDGsに関連する活動を行うための支援体制が整っています。

学生団体やボランティアグループの活動に対する助成や指導、イベントやワークショップの開催などが行われ、学生が自らアイディアを出し、実践する機会が提供されています。

学生参加型のイベントの実施

上智大学では、SDGsをテーマにしたパネルディスカッションやシンポジウム、学生によるプレゼンテーションなどが行われており、学生が自らの意見や取り組みを発表する場を提供されています。これにより、学生はSDGsについてより深く理解し、自身のアクションを考える機会を得ることができます。

地域との連携プロジェクト

地域との連携を重視し、SDGsに基づいた社会貢献活動を推進しています。

地域の課題に対して学生が参加し、解決策を考えるプロジェクトやイベントが行われており、地域との共生や持続可能な地域社会の構築に向けた取り組みが行われています。

上智大学とSDGsの関連から大学生活を思い描いてみよう

上智大学が設置しているサステナビリティ推進本部は、教員・職員・学生が協同してアイディアを出し合いながら新たな価値を生み出すことを目指して活動しています。また上智大学では、学生自身もSDGsについて考えるなど、いきいきとした学生生活を送ることが可能です。このように、大学によっては勉強やサークル以外にも打ち込めるものもあるため、将来の進路選択の参考としてはいかがでしょうか。

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