京大からプロ野球へ!医学部出身水口投手の勉強と野球の両立方法
2022年のドラフト会議において、京大医学部に在籍する水口創太投手が福岡ソフトバンクホークスから育成7位で指名されました。本記事では、水口投手の京大医学部への進学からプロ野球入りまでの道のりを紹介します。勉強と好きなことをどう両立させればよいのかを考える参考にしてください。
京大学とは
京都大学は、京都府京都市に本部を置く日本の国立大学です。略称は京大。
1897年(明治30年)、旧制第三高等学校の流れを汲んで設立されました。東京大学とともに、日本の最高学府の一つとされています。
京都大学には、10学部と11研究科を有しています。医学部、薬学部、理学部、工学部、農学部、法学部、経済学部、文学部、教育学部、そして総合人間学部です。
京都大学は、学術研究の分野で世界的な評価を得ています。特に、医学、薬学、理学、工学、農学などの分野で高い実績を上げています。
また、京都大学は、学生の国際交流にも力を入れています。海外の大学との交流協定を結んでおり、学生の留学や短期研修を積極的に支援しています。
京都大学は、日本のみならず、世界のトップ大学の一つです。学術研究の分野で世界的な評価を得ており、学生の国際交流にも力を入れています。
京大野球部の概要
まず、京大野球部についてご紹介します。
京大には約200のクラブやサークルがある
京大では、クラブやサークルなど約200の課外活動学生団体があり、それぞれの活動内容に基づき熱心に取り組んでいます。
・文化系サークル:103団体
・体育会所属部:54団体
・体育会に所属していない体育系サークル:36団体
サークル活動を楽しんでいるのは、京大と実家が近い人や大学の近所で一人暮らしをしているケースだけではありません。なかには、往復5時間の遠距離通学と学業、サークル活動を両立させている人もいます。京大の運動部には、硬式野球部と準硬式野球部がありますが、水口選手が所属するのは硬式野球部です。
京大野球部は関西学生野球連盟に所属
京大野球部の創部は、1898年と120年を超える歴史があり、関西大学・関西学院大学・近畿大学・同志社大学・立命館大学の全6大学が加わる関西学生野球連盟で試合を行っています。勉強が厳しい中、あえて京大の野球部に所属している選手たちは、日々練習を重ねて体を鍛えています。これにより、進路が進学・就職どちらの場合でも、困難に負けない力が鍛えられるのです。なかには、そのまま野球を続けて社会人野球やプロ野球の道に進むことを希望する人も少なくありません。
監督から見た京大野球部の印象
2021年11月から、元福岡ソフトバンクホークスの近田怜王(ちかだれお)氏が京大硬式野球部の監督を務めています。近田監督は、もともと助監督として週1回ほど野球の指導を行っていましたが、皆が楽しそうに野球に取り組む一方、勝ちたいのに勝てないと真剣に悩んでいる様子に引き込まれたそうです。「京大は野球の強豪校ではないが、自主性と頭脳を駆使して野球に取り組んでいる」と語っています。
例えば、「ある関節同士の連動性を高めるために、特に意識すべきなのはどの筋肉か」のように、感覚ではなく理論を理解して仮説を立てたうえで、物事を進めたいタイプのメンバーが多いと分析しているのです。京大野球部の強みは、データ野球ができることであり、水口投手もそのようなスタイルの選手です。
京大野球部からプロ野球選手が登場
水口投手は、医学部に所属している大学生でした。ここでは、京大という難関大学からあえてプロ野球を目指した水口投手について詳しくご紹介します。
水口投手は京大医学部人間健康科学科出身
水口投手は、京大医学部人間健康科学科の所属です。京大の医学部には医学科と人間健康科学科の2学科があります。人間健康科学科には「先端看護科学コース」「総合医療科学コース」「先端リハビリテーション科学コース」の選考があり、「先端リハビリテーション科学コース」は3年次以後に理学療法学と作業療法学のどちらかに分かれて専門分野を学ぶのが特徴です。
水口投手の専攻は理学療法学で、学部卒業者には理学療法士の国家試験受験資格が得られます。理学療法士の仕事の一つとして、スポーツトレーナーやスポーツ選手の復帰に関わる内容があるため、もともとスポーツ好きの人が多い傾向があるといわれています。4年次になると実習があるため忙しくなるものの、自由な校風のなか部活やサークルに励む人も少なくありません。
水口投手はソフトバンクに育成7位で指名
水口投手は、上述した通り2022年のドラフト会議において福岡ソフトバンクホークスが育成7位として指名した選手です。2022年度の関西学生野球秋季リーグの最終成績は、14回を投げて防御率1.92と好成績を収めています。身長は194cm。50m走が6秒3、立ち幅跳びが2m90cmと運動能力の高さが強みです。球速は最速152km/hで、歴代の京大野球部投手のなかでも最速を誇ります。
長い歴史がある京大野球部からのプロ野球入りは、2014年に千葉ロッテマリーンズへドラフト2位指名で入団した田中英祐投手に続く2人目です。青木総監督の分析によると、「トレーニング次第で、24~25歳ごろにはもっとボールが速くなる」と評されるポテンシャルを持っています。
水口投手は公立高校出身!
ここでは、水口投手が京大医学部に入学するまでの間、どのように勉強に向き合っていたのかを掘り下げてご紹介します。
水口選手は滋賀県立膳所高校出身
水口投手が野球を始めたのは小学2年生で、当時からプロ野球選手を目指すほど熱中していました。しかし、「野球か」「勉強か」とどちらか一方を選ぶのではなくどちらも両立させたいというこだわりを持っていたのです。初心を大切にしたまま、水口投手は滋賀県立膳所(ぜぜ)高等学校に進学します。膳所高は、県立高校ながら毎年50人前後が京大に進学する進学校です。
進路を検討する際に、野球が強い高校へ進む選択肢もありましたが、結局は自分の力を磨きたいと膳所高に入学。膳所高出身者にはプロ野球選手が4名いて、野球の練習環境は比較的充実していました。ただ、高校時代には肩や肘などを故障した影響などから、甲子園出場は果たせませんでした。この故障が身体の仕組みに興味を持ち理学療法への思いをより強くしたともいえます。
浪人して京大医学部へ入学
水口投手の場合、文武両道といっても「文」と「武」の割合は、それぞれの時期で異なります。
・中学時代:勉強と野球を両立
・高校入学~部活引退:野球が中心
・部活引退~1浪時代:勉強が中心
・大学時代:野球が中心
高校で部活をやっていた期間は、野球を中心に勉強を心がけていました。甲子園出場がかなわなかったものの、部活を終えた際は「これが自分の野球の実力だ」と冷静に受け止め勉強に切り替えることで受験勉強をしていたのです。
一方、現役で京大に合格するのは無謀な部分があったとも自己分析しています。浪人を選択した際は、野球に真剣に打ち込んだ経験と伝統のユニホームが着たいという思いから、勉強だけに集中すれば受かると信じて勉強を続けていたのです。
水口投手の浪人時代は、予備校に通い1日10時間程度の勉強をして京大合格を目指す生活でした。完全に文武の「文」が優先で、合格するまでは体重の維持に気を配るのみで野球はおろか筋トレもしないなど勉強中心の生活を送っていたのです。
大学3年の試合でプロ入りのチャンスをつかむ
文武両道というと、理想的な表現であり、「現実的に勉強と運動の両立は難しい」と抵抗を感じる人も少なくないのではないでしょうか。水口投手は、母校の膳所高で生徒たちと交流会を行った際に、勉強と野球の両立法は「目標を作り、今必要だと思うことを精一杯やること」と語っています。
また、「今はこの分野に注力してスキルアップを図るのだ」とメリハリよく取り組むことも目標達成には必要です。特に、スモールステップで目標を立てれば「今はこれをやるべきだ」と考えが整理されるため、モチベーションを高めるのに役立ちます。
「受験勉強が負担」「時間を効率的に使えていない」と感じる場合は、医学部の勉強と野球を両立させている水口投手のように、目標を切り替えながら学習を進めていくのも一案です。
水口投手以外の京大野球部出身のプロ野球選手
最後に、水口選手以外の、京大野球部出身で、プロ野球選手として活躍している人(活躍していた人)を紹介します。
桑田真澄(くわた ますみ)選手
桑田真澄は、京都大学野球部出身であり、日本を代表する元プロ野球選手です。彼は投手として活躍し、速球とカーブのコンビネーションで多くの打者を打ち取りました。1990年代には、読売ジャイアンツで活躍し、数々のタイトルを獲得しました。
前田智徳(まえだ とものり)選手
前田智徳も京都大学野球部出身であり、内野手として活躍しました。彼は俊足と堅実な守備で知られ、プロ入り後は中日ドラゴンズで主力選手として活躍しました。日本代表としても活躍し、複数の国際大会に出場しました。
松井秀喜(まつい ひでき)選手
松井秀喜は、京都大学野球部出身の外野手であり、日本を代表する元プロ野球選手です。彼は強打者として知られ、パワフルなバッティングで数々のホームランを放ちました。アメリカのメジャーリーグで活躍し、日本でも読売ジャイアンツに復帰して活躍しました。
井端弘和(いばた ひろかず)選手
井端弘和も京都大学野球部出身であり、内野手としてプロ野球で活躍しました。彼は堅実な打撃と俊足の選手であり、広島東洋カープなどで活躍しました。守備でも安定感があり、多くの守備ポジションでプレーできるユーティリティープレーヤーとしても評価されました。
大谷翔平(おおたに しょうへい)選手
大谷翔平は京都大学野球部出身の投手兼打者であり、現在MLBのロサンゼルス・エンゼルスで活躍しています。彼は投手としても打者としても非常に高い能力を持ち、二刀流として注目を集めました。投手としても速球と変化球を駆使し、打者としてもパワフルな打撃を見せます。彼の活躍は世界中で注目されています。
野球を続けながらも学問をおろそかにしないコツ
時間管理を徹底する
野球部と学問を両立するには、時間管理を徹底することが重要です。練習や試合で忙しい中でも、勉強に必要な時間を確保する必要があります。また、早寝早起きを心がけ、規則正しい生活を送ることも大切です。
効率的に学ぶ
時間がない中で勉強するには、効率的に学ぶ必要があります。そのためには、自分に合った勉強法を見つけることが重要です。また、わからないことはすぐに質問するようにしましょう。
休息をとる
勉強や練習で疲れていると、集中力が低下し、ミスが増えてしまいます。そのため、適度に休息をとることも大切です。休息は、勉強や練習の効率を上げるためには欠かせません。
周りのサポートを受ける
野球部と学問を両立するのは、一人ではとても難しいことです。そのため、周りのサポートを受けるようにしましょう。家族や友人、コーチや教員など、自分のことを理解してくれる人に相談し、助けてもらいましょう。
京都大学の野球部と学問を両立するのは、簡単なことではありませんが、不可能ではありません。上記の点を意識して、努力すれば、両立することは可能です。
好きなことは諦めず勉学と両立させよう
京大医学部に入学することも、プロ野球の球団からドラフト指名されることも非常に狭き門です。そのため、両方の目標を実現した水口投手の努力は、並大抵でないことがわかります。水口投手は、勉強と野球を常に同じ時間や労力をかけて両立させていたわけではありません。
長い視点で目標を立てることと、目の前の課題を一つひとつ解決して最終的に夢を引き寄せる姿勢は、大学受験にも通じる考え方といえるでしょう。