東京大学ならではの「進振り」システムと科類ごとの偏差値をチェック
東京大学には「進振り」と呼ばれる独特のシステムがあり、進学する学部・学科が決定されます。入試の際に選択するのは、理科一類~三類と文科一類~三類のいずれかです。そこから希望の学部・学科に進学できるかどうかは、入学後の成績に左右されることになります。
ここでは、東大ならではの「進振り」システムをわかりやすく解説するとともに、科類ごとの偏差値や主な進学先について紹介していきましょう。
2年次に行われる「進振り」で学部が決定
東京大学は、「理科一類~三類」「文科一類~三類」といった類ごとに募集され、前期課程と後期課程に分かれているのが特徴です。入学後の2年間を前期課程と呼び、この期間は全員が教養学部に所属することになります。
この前期課程での成績をもとに、希望の学部・学科に進学できるか否かが判断され、入学時どの科類に属していたとしても、すべての学部・学科へ進学することが可能です。2年次に行われる、後期課程で進学する先を決定するシステムを「進学選択」(「進振り」)と呼びます。
それぞれの学部・学科には、当然定員枠があるため、志望学部・学科に進めるかどうかの鍵は「進振り」までに履修した科目の成績で、成績の平均点が上位の人から学部が内定します。各学部・学科には、「指定科類枠」と「全科類枠」が設けられており、前者は特定の科類の人のみが対象です。
後者は、すべての科類が対象で受け入れ人数が少なかったり、すべての学部に設けられていたりするわけではありません。
理科一類から三類の偏差値と主な進学先
2020年度、河合塾の発表による東大理科一類の偏差値は67.5です。これは、2016年度から5年間変わっていません。理科一類からの進学先は、主に工学部と理学部です。この他に、教養学部や農学部、薬学部などへも進学します。卒業後は、研究者やエンジニアになる人が多い傾向です。
理科二類の偏差値は67.5で、こちらも2016年度から変わりません。理科二類からの進路は農学部や工学部、理学部、薬学部などが多く、卒業後の進路としては薬剤師・獣医などが目立ちます。
理科三類の偏差値は、2016年度から5年間変わらず72.5。日本最難関といわれるだけあって、同じ理科の中でも他の類とは一線を画す難しさです。定員97名のほぼ全員が「進振り」後に医学部に進学しています。
文科一類から三類の偏差値と主な進学先
河合塾によると、2020年度の東大文科一類~三類の偏差値は、すべて67.5となっています。ただし、文系で最も合格最低点が低く、そのほとんどが法学部に進学する一類は文科の最難関であり、弁護士や国家公務員を目指す人が多くなっています。
文科二類からは、大多数が経済学部へと進学する傾向です。経済学部以外では、文学部や教養学部など。卒業後の進路としては民間企業への就職が多く、金融業、保険業などが目立ちます。
文科三類からは、文学部や教養学部、教育学部などへの進学が多数です。教員を目指す人が多いのが文科三類の特徴といえるでしょう。
まとめ
東大は、2年次の終わりに専門内容を選ぶ「進振り」システムがあることが特徴です。教養課程は、ほぼ共通ですべての学部・学科への道が開かれています。しかし、理系学部に進みたい場合は、ある程度数理系の科目を履修しておく必要がありますので、気をつけましょう。